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July 21, 2020

『みんなのシステム論』

 アドラー心理学とも相性が良い、とても近い発想に立っている心理療法に家族療法があります。システムズアプローチともいいます。

 でもアドラー心理学を学ぶ人だけでなく、普通の傾聴中心のロジャーズ的なカウンセリングをやっている人、専門家でも精神分析学的心理療法の志向の強い人は、システムズアプローチが苦手みたいです。

 基盤となっているのがベイトソンの認識論とか、サイバネティクスとか情報理論とか、難しそうでとっつきにくさがあるからかもしれません。

 物の見方も独特だし、一対一の個別面接が好きな人は、親子や家族、カップルなどの複数人との面接は苦手な人が多いからかもしれません。

 家族療法が登場してもう半世紀は経っているのに、まだ十分に日本の臨床現場に普及しているとは言えないかもしれません。

 しかし、家族とのカウンセリング、複数の人と面接する機会のある人には絶対に知ってほしいアプローチです。

 そんなシステムズアプローチの基礎から応用まで、わかりやすく説いているのが、

 赤津玲子・田中究・木場律志編『みんなのシステム論』(日本評論社)

 私も所属している日本ブリーフサイコセラピー学会で活躍している先生方による本で、「こういう感じの実践をされているんだ」「こんなふうにやっていけばいいんだ」と確認することができて、個人的にはとても良かったです。

 前半はシステム論の解説、システムという視点で患者・クライアント・問題・症状を見るとはどういうことかを解説しています。

 リフレイミングとか、元々はシステムズアプローチから出たワードも解説されています。

 後半はさまざまな臨床現場からの報告、摂食障害、スクールカウンセリング、訪問看護、緩和ケア、養護施設、少年院など、心理職だけでなく多くの対人援助に携わる人たちがシステムズアプローチを実践している様子がわかります。とても応用範囲がひろいです。

 私は最近、非常勤講師をしている大学で、システムズアプローチの講義をしたのですが、その時に参考書として学生たちに本書を紹介しました。

 カウンセリングの腕を挙げたい人は、是非学んでください。

 

 

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