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February 28, 2022

『武田信虎』

 大河「鎌倉殿の13人」、なかなか面白いですね。

 あの時代は内戦と内ゲバが、武士同士だけでなく朝廷や貴族、親族内でも繰り広げられて、戦国時代よりも生々しく荒々しい気がします。

 今は純粋な小栗旬演じる北条義時がどのようにして、冷酷な権力者になっていくのか、あるいはいかないのか、楽しみです。

 このドラマの中で甲斐の武田信義を八嶋智人さんが演じています。八嶋さんはいつもちょっと軽いキャラを演じるので、ちょっと心配なんだけど(笑)、武田信義は武田信玄のご先祖様になり、実はこの時代でも武田氏は大活躍していました。放送されているこの時点では、源氏では一番勢力があったようです。

 頼朝は石橋山の合戦で大敗して千葉に逃れましたが、信義は信濃、甲斐、駿河で連戦連勝で平家を破っていました。その後の有名な富士川の合戦でも、実際は平家軍と武田軍の戦いだったようです。

 ただそれでは頼朝の体面が悪いので、水鳥が飛び立つ音で平家軍は逃げ去ったという話にしたのではないかという説をどこかで読んだ記憶があります。

 ただ武田氏はあまりに勢力が強くなりすぎて頼朝に警戒され、信義は政治的に次第に追い詰められ、鎌倉で嫡男を殺され、失意のうちに亡くなります。その後鎌倉幕府は武田氏を攻撃し、滅亡の寸前までいってしまいました。

 その辺をドラマではどのように描くのか、楽しみです。

 その後の甲斐国内は分裂と抗争を繰り返し、ようやく室町時代後期にさしかかる頃に武田信虎によって統一されます。

 武田信玄のお父さんですね。

 ただこれまで信虎は、信玄の引き立て役みたいなってしまい、とんでもなく暴虐な主君として描かれていました。

 平山優『武田信虎 覆される「悪逆無道」説』(戎光社出版)は、歴史学者による丁寧な文献調査と考察によって信虎の真の姿に迫った労作です。

 10歳で家督を継いだ信虎は、必死に武田家を立て直し、戦いに明け暮れた人生を送りました。

 不運だったのは、信虎がいくら活躍してもこの時代は天災や飢饉が多く、物価高で民衆は苦しみ、国力を高めることができなかったことです。

 結果民衆の恨みを買うことになってしまいました。それが暴君というイメージを作ってしまったみたいです。

 しかし今の県都・甲府を作ったのはまぎれもなく信虎であり、山梨の礎を作った偉大な人物であることには間違いがありません。

 山梨県民は本書を一度は読むべきです。とても厚いけど。

 

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