『手を洗いすぎてはいけない』
コロナ禍で私たち日本人が強いられ、強く身につけたのが手洗いの習慣。
どこに行ってもアルコールの手指消毒が置いてあり、今でもスーパーやレストランなどに入店するときに手をシュッシュとする人はよく見かけます。
ご本人はきれいになったつもりでいるけれど、本当はどうでしょうか。
実は、免疫や衛生に詳しい人ほど、過度な手洗いを勧めてはいません。手洗い自体はいいのですけど、過剰な手洗いは本末転倒になることを警告しています。
皮膚にある常在菌がアルコールで死滅し、油脂が水で流されてしまうからです。
皮膚は免疫の第1関門、そこでウイルスや細菌を防げれば、体内の免疫の負担はだいぶ減るはずです。
手洗いによって、ウイルスとの戦いの最前線が崩壊してしまえば、こちらは不利になるのが必定。
その辺をわかりやすく解説してくれるのが、藤田紘一郎著『手を洗いすぎてはいけない』(光文社新書)です。
藤田先生は以前から私もファンの感染免疫学者で、先年お亡くなりなりました。本書はコロナ前の2017年に出た本ですが、コロナ禍の日本人の狂騒ぶりを早くも警告したかのようです。
本書の中身の一部を抜粋します。
人間の皮膚には表皮ブドウ球菌や黄色ブドウ球菌をはじめとする約十種類以上の「皮膚常在菌」と呼ばれる無数の細菌がいます。これらが私たちの皮膚を守ってくれているのです。
皮膚常在菌は、皮膚から出る脂肪を餌にして脂肪酸の皮脂膜を作り出します。この皮脂膜は弱酸性で、病原体のほとんどは酸性の場所では生きていけないそうです。つまり皮膚常在菌は病原体から体を守るバリアの役割を果たしているのです。弱酸性のバリアとして感染症から身を守る第一の砦となっているのです。
それを水で執拗に洗い流し、アルコールで殺菌してしまえばどうなるでしょうか。
昔ながらの固形石鹸で手を洗った場合でも、9割の皮膚常在菌はなくなってしまうそうです。しかし、10%でも残っていれば、再びそれは増殖して12時間後には元の状態に戻れるとのことです。
1日1回入浴するくらいなら、皮膚常在菌は十分復活するそうです。
しかし今の薬用石鹸やボディソープならもっと殺菌効果が高いはずですし、それを何時間おきに、時には何分かおきに使っていたら皮膚常在菌が戻る余裕はなくなってしまいます。
皮膚常在菌のバリアを失うと、皮膚は中性になるので、病原体にとても弱い状態になります。病原体は手指から口へと体内に入り、感染します。あとは体内の免疫機構に働いてもらうことになります。まず皮膚の段階で、病原体を殺すことができれば、体内の免疫機構の負担は減るでしょう。
つまり、手を洗いすぎることで、私たちは免疫力が低下するのです。
これを藤田先生は、「洗いすぎると人の皮膚はどんどん『キタナイ』状態になり、病原性の弱い菌やウイルスに感染しまうほど、ヤワな体になっていくのです」と言っています。
これはキレイ好きで感染を恐れる人にとっては、「洗えば洗うほど汚くなる」ということで衝撃的ですね。
何事も過ぎたるは猶及ばざるが如し。
では、どの程度の手洗いならよいのでしょうか。藤田先生は言います。
「両手を軽くこすりながら、流水で10秒間流す」
これだけです。
簡単ですね。
もう、高田純次的に、テキトー主義でいきましょう。
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