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May 06, 2024

スポーツ賭博を巡って

 大谷翔平選手の通訳、水原一平氏のスポーツ賭博と金銭トラブルの件で4月は大騒ぎでしたが、事件も世間も落ち着いてきたようで、大谷選手もホームランを打ち続けて調子が戻りつつあるようです。さすが、タフですね。

 私は『労基旬報』というある業界紙に毎月連載を持っているのですが、最新の4月15日号にこの件について少し書きました。通り一遍のマスコミ記事とは一味違うかもしれないので一部転載します。

(転載始め)

 ‥‥この騒動の中で心理臨床家の私として引っかかったのは、アメリカのギャンブル事情とギャンブル依存症という言葉でした。

  スポーツ賭博の違法性と合法性

 アメリカにおいては、スポーツ賭博は違法である州と合法である州とわかれているそうで、ネットで調べた限りでは38の州で合法、12の州で違法とのことです。ちなみに先進7か国(G7)でも、日本以外の国ではスポーツ賭博は何らかの形で合法化されています。大谷選手と水原氏がいるカリフォルニア州は違法だから問題になったといえそうです。もし二人が合法の州で生活していたら、どうなっていたでしょうか。合法の州で合法のやり方でやっている分には罪になることはないはずです。ただ、大谷選手の口座から水原氏が勝手にお金を引き出していれば窃盗か横領の罪は問われるでしょう。もし大谷選手が友人である水原氏に懇願され、自ら借金の肩代わりをしたとしたら、それ自体は犯罪にならないことになります。ニューヨークっ子は、「オオタニはドジャースなんかに行くからだ。ヤンキースに来てればよかったのに」と思っているかもしれせんね。

 依存症の治療をしている私からすると、当事者のギャンブルの負債を身内や他者が肩代わりをするのは好ましくありません。「とりあえず返しておくから、もう二度とするなよ」と諭しながら、親が借金を返済するなんて話はたくさんありますが、それで本人がよくなることはほとんどないようです。本人はホッとしてしばらくはギャンブルに手を染めないでいますが、いずれ再発してしまうのです。依存症が病気であるといわれるゆえんです。周囲は、借金はその本人の課題として突き放しながらも、回復を応援する姿勢が大切です。

 さらに私が興味を持ったのは、カリフォルニア州ではスポーツ賭博がなぜ違法であるのかということ。実はカリフォルニア州は、マリファナは完全に合法です。医療用、嗜好用共に合法なのです。むしろ、カリフォルニア州は(というかそこの人たちは)マリファナ合法化を積極的に推し進めていた印象があります。

 私のカリフォルニアのイメージは、リベラルで先進的、前衛的な文化の最前線というもの。70年代はヒッピームーブメント、フラワーチルドレン、カウンターカルチャーで盛り上がり、若者文化の発信源でした。その後ITの最前線の地にもなり、何かとお騒がせなところでもあります。日本の禅も人気で、スティーブ・ジョブズが参禅したことでも知られています。こう見ると、カリフォルニア州はスポーツ賭博の方がマリファナより害が大きいとでもいっているような気さえします。

 ちなみに近年のアメリカ全体でもマリファナ合法化の波は進んで、現在40州くらいが何らかの形で合法化しているそうです。これは現在、世界中のトレンドです。日本は徹底禁止ですが、本当にそれでいいのか、どうするべきなのかを考える時が来るかもしれませんし、私はそれを期待しています。

 ギャンブルやドラッグは、時代や文化、歴史が複雑に絡み合って何が合法か決まっていきます。私自身は、何でも禁止、違法化することには反対です。禁酒法時代のアメリカでアル・カポネみたいなマフィアが闊歩したように、禁止すればアンダーグラウンド化して、反社会勢力が跋扈します。今回の水原氏のように、とんでもない負債を抱えた依存症者が現れてしまう可能性もあります。

 ギャンブルは歴史と共にあり、刺激に興奮する人間の本性に根差しているところがあるので、禁止したからといってなくなることはありません。社会が適度な合法化、すなわち規制化を模索するしかないと思います。

依存症へのアプローチの基本

 また水原氏がアメリカのメディアのインタビューで、「大谷選手が借金の肩代わりしてくれた」と話していたのを、一夜明けたら「彼は全く知らなかった、関与しなかった」と前言撤回したのも疑惑を深めました。大谷選手の代理人と水原氏が話して、大谷選手を守るために証言を変えたのではないか、という見方もありますが、依存症者の発言にはウソが多い、内容がコロコロ変わるのはよくあることで、その点では私は疑惑を感じながらも違和感は一般の人より少なかったです。依存症は「否認の病」ともいわれ、自分がそれにまた手を出したことや借金を膨らませてしまったことを話したがらず、ばれるとわかるようなウソをつくことはよくあります。したがって依存症の治療の最初の一歩は、「正直になること」とよくいわれます。

「酒を飲んだ」「ギャンブルをした」と正直に告白できることが第一歩です。そして、「今日はやらない。明日はまたやるかもしれないけれど、今日はやらない」と決断することが大切です。決断と失敗の繰り返しが積み重なることで、回復に向かっていきます。

 水原氏は自らをギャンブル依存症と言ったそうで、実際に専門医にそう診断されたのかはわかりませんが、その可能性は高いと思います。今回の事件を機に、水原氏が回復の道を歩まれることを祈っています。

(転載終わり)

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