『心理臨床と政治』
信田さよ子・東畑開人編『心理臨床と政治』(こころの科学、日本評論社)を読了。
カウンセリング、心理療法は本質的に政治的行為であることは昔から言われていたことでした。
古くはR・D・レインらの反精神医学、70年代日本の臨床心理学界を二分した論争と分裂、最近の社会構成主義とそれを源流としたナラティブセラピーは、心の治療についての政治性に敏感な人たちの運動でした。
しかし、時代の流れはエビデンスというスローガンのもと、「科学性」が最重要視されてきました。
しかし、私たちは本当に科学的になれるのだろうか。
本書の編者、執筆者たちも現在の臨床心理学やカウンセリングの流れに違和感を持っている方たちだと思います。
何より信田さよ子先生は、親子や家族の権力関係に一際敏感で数多くの著書をものにしてきたし、虐待やDV、犯罪被害者や加害者の支援の先駆者です。
最近売れっ子の東畑開人先生も、臨床心理学と社会の関係をわかりやすく発信しています。
本書で取り扱っているトピックは、臨床心理学の歴史と戦後政治、DV加害者臨床、母娘問題、学派、国家資格、精神分析とフェミニズム、アディクションなど多岐に渡ります。
どれも最近臨床的関心を集めているもので、それらを一覧するには良い本だと思います。
ただ一つ大きなものが欠けています。
コロナ対策とコロナワクチンです。
近年これほど大きく政治に関わり、我々やクライエントの心身の健康と臨床スタイルに深刻な影響を与えたものはありません。
それにも関わらず、一言も触れられていない。
触れる勇気がないのか、そもそもそういう視点を持ち得なかったのか、それともそれこそ権力側に忖度したのか。
この点において、本書は「画竜点晴を欠く」と私からは言わざるを得ません。
日本を代表する臨床家や臨床心理学者が集まっているのだから、次の機会には是非、取り上げていただきたいです。
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