July 25, 2020

共感と共同体感覚

「謎の4連休」と噂されている第1日目の7月23日(木)、日本個人心理学会の「会員の集い」がオンラインで開かれました。

 消えたオリンピックの代わりにふさわしいイベントといえるでしょう(笑)。

 全国から30名超の人が参加してくれたそうです。

 今年3月予定されていた第1回大会は、コロナで延期になってしまいましたが、学会誌も発行され、会員の集いも4回目を数え、少しずつ進んでいる感じがあります。

 今回は日本アドラー心理学協会会長で、本学会の常任理事でもある梶野真さんが、プレゼンテーターになってくれました。

「共感と共同体感覚~関心を持つこと」というタイトルで、アドラーの共同体感覚とロジャーズの共感という、2つの最重要概念の比較、共通性について話題提供されました。

 残念ながら私は仕事があったので途中で退室してしまいましたが、改めてアドラーからの影響がロジャーズに色濃くあることを感じました。

 実際にロジャーズは若き日に、アドラーのケースプレゼンテーションに接して衝撃を受けたという、ロジャーズ自身の報告があります。

 カウンセリングの中心概念である共感は、共同体感覚を臨床的に実践する際の目標であり、ガイドであることが確認できたのが収穫でした。

 梶野さんが教えてくれた元ネタになる論文は以下のものです。

 The remaekable parallel between Roger`s core conditions and Adler`s social interest

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July 05, 2020

『不登校に向き合うアドラー心理学』電子書籍化!

 幸い好評いただいている拙編著『不登校に向き合うアドラー心理学』(アルテ)がこの度、電子書籍化しました。

 少しお安く買えますよ。

 新型コロナウイルスによる休校があり、学校が再開して1か月余り、子どもたちも先生方も大分疲れてきた人が増えてきたとよく聞きます。

 これまでのような不登校だけでなく、新しい問題も生じているかもしれません。

 学校とどう付き合うか、改めて考える材料にしていただけると幸いです。

 よろしくお願いします。

 

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June 04, 2020

『不登校に向き合うアドラー心理学』在庫切れか

 前回重版をご案内した『不登校に向き合うアドラー心理学』(アルテ)ですが、Amazonでもう在庫が切れたのか、割高の中古本しかありません。まさか爆発的に売れるような本でもないから、数冊しか入れていなかったのでしょうか。

 こら、Amazon、甘く見とんのか、もっと入れんかい。

 ほしい方は、最寄りの書店などで注文していただきたいと思います。

 ところで、この本のタイトル「不登校に向き合う~」は、実は共著者の一人の佐藤丈先生の発案だったのですが、今思うとアドラーらしいな、と感じます。

 ロジャーズなどをベースにした、よくあるカウンセリング理論に拠った本だと「不登校に寄り添う」というやさしい感じのタイトルや副題、キーワードが使われるかもしれません。

 応用行動分析学や認知行動療法だと、「不登校を直す」というニュアンスが出てくるでしょう。実際本ブログでも、そういった本を何冊も紹介したことがあります。

 寄り添うのも直すのもいいけれど、そもそもこの問題にどのような考え、姿勢で臨むのか、まさにライフタスクとしての不登校というとらえ方が可能であることを本書は示唆していると思います。

 新型コロナで長期の休校を経た今、改めて学校の在り方、学校に通うことが問われています。その点でも本書は時宜にかなっているといえるかもしれません。

 不登校支援に関係する方、是非参考にしてください。

 

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June 01, 2020

『不登校に向き合うアドラー心理学』重版出来!

 先月にも同じアナウンスをしたのですが、緊急事態宣言にともなって出版業界、印刷所や取次がストップしてしまったためか、ようやくAmazonや書店に出るようになりました。

 深沢孝之編著『不登校に向き合うアドラー心理学』(アルテ)

 これまでAmazonでは在庫切れ、マーケットプレイスで1万円を超えた時もありました。やっと普通に買えます。お待たせしました。

 おりしも休校が明け、何とか始まった学校生活に、不登校の子どもたちはどのような反応をするのでしょうか。

 本書はコロナ前の昨年末に出たものですが、今でも十分に通じる内容だと思います。

 アドラー心理学らしい支援の様子をうかがうことができますよ。

 

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May 24, 2020

『アドラーに救われた女性たち』

 日本のアドラー心理学の歴史と共に生きてきた大先輩・鶴田恵美子先生が、ついに本を著しました。

 つるたえみこ著『アドラーに救われた女性たち 親子関係・夫婦関係に悩むあなたへ』(みらいパブリッシング)

 先生から献本いただきました。ありがとうございます。

 本書はタイトル通り長年、女性、家庭支援に精力を注いできた鶴田先生が、その温かい人柄と柔らかい感性を活かして、ご自身の人生を振り返り、アドラー心理学との出会いから発展まで、そして実際の現場での援助のポイントを、わかりやすく綴られたものです。

 実は私は、鶴田先生が創設された日本支援助言士協会の顧問と講師を務めさせていただいており、本書の執筆や出版も企画段階から耳にしていたので、当然応援していました。ついに実現してよかったです。

 個人的に興味深かったのは、戦後・沖縄の粗っぽいというか複雑な社会の状況と、その中でたくましく生きる若き(すみません m(__)m)先生の生き様。まさにアドラー心理学の早期回想みたいなもので、ライフスタイルがうかがえて楽しかったです。

 家族支援の本質が学べます。

 是非、お読みください。

 

 

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May 07, 2020

『個人心理学研究」発刊

 昨日、日本個人心理学会初めての学会誌『個人心理学研究 第1巻第1号』が発行されました。

 昨年11月に第1回の研修会を開きましたが、その後新型コロナウイルスの流行で3月の第1回大会が中止、延期になったので、これが実質的に公的な初登場となるでしょう。

 最近の学会誌では少しずつ増えてきた形なのですが、紙の本ではなくHPからダウンロードというオンライン学会誌です。最初は「やはり紙の本の方が重みがあっていいよなあ」と思っていましたが、これも新型コロナの影響であらゆるところでオンライン化が進む時代に、ジャストフィットしているのかもしれません。

 私も「心理臨床家から見た個人心理学(アドラー心理学)の課題」という一文を寄せています。

 第一回ということで、執筆者の皆さんの熱量が感じられる内容となっています。

 買ってください、といいたいところですが会員限定ですので、是非会員になってください。

 日本個人心理学会

 思えば、前身の日本臨床・教育アドラー心理学研究会ができたのが東日本大震災の2011年、その後空前のアドラーブームがあって、学会設立へと至り、また今年は未曽有の疫病禍で日本も世界も苦しんでいる時に第1回の学会誌と、まさに時代の動きとリンクしている感があります。

 アドラー心理学が必要とされる時代はまだこれから来るのかもしれません。そう思うことにしよう。

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April 17, 2020

『不登校に向き合うアドラー心理学』増刷決定!

 一億総不登校、ひきこもりとなってしまったこんな時期ではありますが、昨年末に私が編者になって出した『不登校に向き合うアドラー心理学』(アルテ)が増刷されることになりました。

 一般書とか自己啓発書ではないので部数は少ないですが、ありがたいことにけっこう評判がよく売れているようです。

 本書は、アドラー心理学を不登校臨床、支援の現場でどう活かすことができるか、教師、カウンセラー、ソーシャルワーカーによる報告だけでなく、元当事者や保護者へのインタビューなど、エピソードも満載です。

 自粛中にアドラー心理学の「応用編」を学ぶには格好の本と思います。

 是非、お読みください。

 それにしても、このコロナ騒ぎが終わったら、学校は、不登校問題はどのようになっているだろうか、新たな研究課題が出てきそうな予感です。

 

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February 24, 2020

日本個人心理学会第1回学術大会延期!

 来月3月7,8日に予定されていた日本個人心理学会第1回学術大会は、新型コロナウイルスの影響で「延期」と決まりました。

 第1回学術大会延期のお知らせ

 私は大会長でしたから、苦渋の決断でもありました。

 参加申し込み、演題発表申込をしてくださった皆さん、本当に申し訳ございません。

 ここのところずっと理事、事務局長と話し合いを続けてきましたが、このご時勢に抗うことはできませんでした。

 新型コロナウイルスは高齢者にはリスクはあるが、全体の致死率はそれほど高くはないという情報もあり、せいぜい100人弱の中小規模で、不特定多数「ではない」集まりである当学会は決して「不要不急」の外出には当たらないと思いますし、厚労省は「一律に自粛を要請するものではない」ということなので、開催は可能ということも成り立つと思っていました。はるかに大きいイベントやコンサートは、中止もありましたが実施されたのもありますし。

 しかしいまだウィルスの正体が十分にわからず、潜在的感染者が多数いると思われる都内を移動し、屋内会場で長時間過ごす中で、マスクも手指消毒薬も十分に確保できない現状では「感染防止対策」を会場で実施することは困難と予想されました。

 既に医療機関にお勤めの方は、「学会、研修会への参加は禁止」とされているところも出ており、キャンセルも出てきていました。

 また、心理系だけでも他の学会や団体の催しは次々に中止、延期のお知らせが私のところにも来ていました。

 ここは無理してドキドキしながらやるよりも、改めて出直すことが賢明と判断されたました。

 捲土重来を期したいと思います。

 これに懲りず、日本個人心理学会をよろしくお願いいたします。

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January 22, 2020

AAとアドラー心理学

 前記事の『アドラー心理学を生きる』(川島書店)に、心理臨床家や依存症支援者にとって注目すべき情報があります。

 アルコホリック・アノニマス(AA)の成立にアドラー心理学が影響していたかもしれないのです。

 AAは1930年代、ニューヨークシティのウィリアム・R・ウィルソン(ビル・Wとして知られる)とロバート・ホルブルック医師(ボブ医師として知られる)の二人で始められました。ビル・Wはアルコール依存症の当事者でした。彼は「12のステップ」という依存症の世界ではあまりにも有名なプログラムの発想を提案しました。

 AAはその効果から、日本を含め世界中に広がりました。それまでの医療の枠を超え、当事者が参加し発言すること、仲間意識を醸成し、人々とつながり孤独を癒すことが治療の本質であることを世界に知らしめたことで、依存症の治療に多大な影響を与えました。

 AAに始まるさまざまな自助グループ、近年盛んな当事者活動、当事者研究を見ると、まさにアドラー心理学でいう共同体感覚が極めて重要であることがよくわかります。ただ、アドラー心理学を知らない臨床心理学者、心理臨床家、医療者は何とか違う言葉をひねり出そうとしているように見えます。オープンダイアローグの中で起きていることを、研究者たちはためらいながら「愛」と言ったり、当たらずとも遠からずで、共同体感覚といった方がしっくりくると私には思えます。

 本書では、AAのアプローチとアドラー心理学のアプローチがいかに類似しているかを簡潔に指摘しています。私も精神病院勤務時代と開業してからずっと、依存症治療にかかわり、AAに通っている患者さんに会っていたので(送迎したときに参加したこともあります)、ずっと同じように感じていました。

 そして近年の研究で、単に似ているだけだなく、実際にAAの創成期にアドラー心理学の影響がうかがえることがわかったのです。

 なぜなら、ビル・Wの母親、エミリー・グリフィス・ウィルソンは「ウィーンでフロイトの元同僚であったアルフレッド・アドラーに学び、サンディエゴでアドラー派のアナリストとして活動していたから」です。

 したがって本書では、ビル・Wはアドラー的知識を持っていたのではないかと述べています。

 これは驚くべきことです。

「ビル・ウィルソンは、アメリカ文化におけるもっとも傑出した指導者の一人になった後でも、常に母親による癒しを求めていた。ビルの母は彼が11歳の時に彼の元を去ったが、それでもお互い手紙を通じて緊密にやり取りをし、それはビルが成人してからもずっと続いた」(p280)

 ビル・Wは母親から勇気づけを得て、陰に陽にアドラー心理学の発想を学び、もしかしたらというかきっと、当時ベストセラーだったアドラーの本も読んだかもしれません。詳しいことはわかりませんが、ビルのお母親も、おそらく夫(ビルの父親)といろいろあって幼い息子と離れざるを得なかったのでしょう。それでも関係を切らずに連絡を取り合っていたわけで、この二人のドラマを知りたい気もします。

 まさに臨床心理学の秘史といえそうです。

 この他に、精神科デイケアを始めた一人にアドラー派の精神科医のビエラがいたことを私は知っていました。このAAの話も北米アドラー心理学会参加時に聞いていました。デイケアと自助グループという、現在の精神医療の最重要な2つの柱にアドラー心理学が影響していたことを知り、うれしく感じたと共に「やっぱり」という思いも強くしました。

 

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January 04, 2020

日本個人心理学会、第1回大会開催!

 令和2年最初の記事は、やはりアドラー心理学に関する最重要の情報を。

 昨年、仲間と設立したアドラー心理学の新しい学会、日本個人心理学会の記念すべき第1回の学術大会が3月7日(土)、8日(日)が東京、世田谷の駒澤大学深沢キャンパスで開かれます。奇しくも私の名字と同じ地名、別に私の土地じゃないよ。

 日本個人心理学会第1回学術大会

 初日7日はワークショップ

 3つの講座があり、私は「アドラー心理学入門」を担当します。初めての方向けです。アドラー心理学に関心はあるけどまだよく知らない方、是非ご参加ください。

 2日目の8日は研究発表とシンポジウム。

 そして特別企画として、なんと世界的に著名なアドラー派の臨床心理学者、ジョン・スペリー先生に講演していただくことが決まりました!スペリー先生は、前北米アドラー心理学会会長で世界中で講演活動をしており、実証的なアドラー心理学の研究からドラム・セラピーという音楽療法まで幅広く活動しています。

 第1回の大会にお呼びできて、大変光栄です。

 そのスペリー先生、大会の一週間前にはヒューマン・ギルドで講座をやるので、直接先生から学びたい方は参加されるといいと思います。

 今回の大会テーマは「アドラー心理学における勇気 courage を考える」。アドラー心理学の表看板といえる勇気と勇気づけについて、改めて検討してみようというわけです。

 大会といってもまだできたての学会ですから、そんなに大きなものにはならないかもしれませんが、我々の意欲だけは大きいです。これから多くの方のご参加、ご協力が必要です。是非、いらしてください。

 参加申し込みはHP参加申込からお願いします。

 

 

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