February 24, 2020

日本個人心理学会第1回学術大会延期!

 来月3月7,8日に予定されていた日本個人心理学会第1回学術大会は、新型コロナウイルスの影響で「延期」と決まりました。

 第1回学術大会延期のお知らせ

 私は大会長でしたから、苦渋の決断でもありました。

 参加申し込み、演題発表申込をしてくださった皆さん、本当に申し訳ございません。

 ここのところずっと理事、事務局長と話し合いを続けてきましたが、このご時勢に抗うことはできませんでした。

 新型コロナウイルスは高齢者にはリスクはあるが、全体の致死率はそれほど高くはないという情報もあり、せいぜい100人弱の中小規模で、不特定多数「ではない」集まりである当学会は決して「不要不急」の外出には当たらないと思いますし、厚労省は「一律に自粛を要請するものではない」ということなので、開催は可能ということも成り立つと思っていました。はるかに大きいイベントやコンサートは、中止もありましたが実施されたのもありますし。

 しかしいまだウィルスの正体が十分にわからず、潜在的感染者が多数いると思われる都内を移動し、屋内会場で長時間過ごす中で、マスクも手指消毒薬も十分に確保できない現状では「感染防止対策」を会場で実施することは困難と予想されました。

 既に医療機関にお勤めの方は、「学会、研修会への参加は禁止」とされているところも出ており、キャンセルも出てきていました。

 また、心理系だけでも他の学会や団体の催しは次々に中止、延期のお知らせが私のところにも来ていました。

 ここは無理してドキドキしながらやるよりも、改めて出直すことが賢明と判断されたました。

 捲土重来を期したいと思います。

 これに懲りず、日本個人心理学会をよろしくお願いいたします。

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January 22, 2020

AAとアドラー心理学

 前記事の『アドラー心理学を生きる』(川島書店)に、心理臨床家や依存症支援者にとって注目すべき情報があります。

 アルコホリック・アノニマス(AA)の成立にアドラー心理学が影響していたかもしれないのです。

 AAは1930年代、ニューヨークシティのウィリアム・R・ウィルソン(ビル・Wとして知られる)とロバート・ホルブルック医師(ボブ医師として知られる)の二人で始められました。ビル・Wはアルコール依存症の当事者でした。彼は「12のステップ」という依存症の世界ではあまりにも有名なプログラムの発想を提案しました。

 AAはその効果から、日本を含め世界中に広がりました。それまでの医療の枠を超え、当事者が参加し発言すること、仲間意識を醸成し、人々とつながり孤独を癒すことが治療の本質であることを世界に知らしめたことで、依存症の治療に多大な影響を与えました。

 AAに始まるさまざまな自助グループ、近年盛んな当事者活動、当事者研究を見ると、まさにアドラー心理学でいう共同体感覚が極めて重要であることがよくわかります。ただ、アドラー心理学を知らない臨床心理学者、心理臨床家、医療者は何とか違う言葉をひねり出そうとしているように見えます。オープンダイアローグの中で起きていることを、研究者たちはためらいながら「愛」と言ったり、当たらずとも遠からずで、共同体感覚といった方がしっくりくると私には思えます。

 本書では、AAのアプローチとアドラー心理学のアプローチがいかに類似しているかを簡潔に指摘しています。私も精神病院勤務時代と開業してからずっと、依存症治療にかかわり、AAに通っている患者さんに会っていたので(送迎したときに参加したこともあります)、ずっと同じように感じていました。

 そして近年の研究で、単に似ているだけだなく、実際にAAの創成期にアドラー心理学の影響がうかがえることがわかったのです。

 なぜなら、ビル・Wの母親、エミリー・グリフィス・ウィルソンは「ウィーンでフロイトの元同僚であったアルフレッド・アドラーに学び、サンディエゴでアドラー派のアナリストとして活動していたから」です。

 したがって本書では、ビル・Wはアドラー的知識を持っていたのではないかと述べています。

 これは驚くべきことです。

「ビル・ウィルソンは、アメリカ文化におけるもっとも傑出した指導者の一人になった後でも、常に母親による癒しを求めていた。ビルの母は彼が11歳の時に彼の元を去ったが、それでもお互い手紙を通じて緊密にやり取りをし、それはビルが成人してからもずっと続いた」(p280)

 ビル・Wは母親から勇気づけを得て、陰に陽にアドラー心理学の発想を学び、もしかしたらというかきっと、当時ベストセラーだったアドラーの本も読んだかもしれません。詳しいことはわかりませんが、ビルのお母親も、おそらく夫(ビルの父親)といろいろあって幼い息子と離れざるを得なかったのでしょう。それでも関係を切らずに連絡を取り合っていたわけで、この二人のドラマを知りたい気もします。

 まさに臨床心理学の秘史といえそうです。

 この他に、精神科デイケアを始めた一人にアドラー派の精神科医のビエラがいたことを私は知っていました。このAAの話も北米アドラー心理学会参加時に聞いていました。デイケアと自助グループという、現在の精神医療の最重要な2つの柱にアドラー心理学が影響していたことを知り、うれしく感じたと共に「やっぱり」という思いも強くしました。

 

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January 04, 2020

日本個人心理学会、第1回大会開催!

 令和2年最初の記事は、やはりアドラー心理学に関する最重要の情報を。

 昨年、仲間と設立したアドラー心理学の新しい学会、日本個人心理学会の記念すべき第1回の学術大会が3月7日(土)、8日(日)が東京、世田谷の駒澤大学深沢キャンパスで開かれます。奇しくも私の名字と同じ地名、別に私の土地じゃないよ。

 日本個人心理学会第1回学術大会

 初日7日はワークショップ

 3つの講座があり、私は「アドラー心理学入門」を担当します。初めての方向けです。アドラー心理学に関心はあるけどまだよく知らない方、是非ご参加ください。

 2日目の8日は研究発表とシンポジウム。

 そして特別企画として、なんと世界的に著名なアドラー派の臨床心理学者、ジョン・スペリー先生に講演していただくことが決まりました!スペリー先生は、前北米アドラー心理学会会長で世界中で講演活動をしており、実証的なアドラー心理学の研究からドラム・セラピーという音楽療法まで幅広く活動しています。

 第1回の大会にお呼びできて、大変光栄です。

 そのスペリー先生、大会の一週間前にはヒューマン・ギルドで講座をやるので、直接先生から学びたい方は参加されるといいと思います。

 今回の大会テーマは「アドラー心理学における勇気 courage を考える」。アドラー心理学の表看板といえる勇気と勇気づけについて、改めて検討してみようというわけです。

 大会といってもまだできたての学会ですから、そんなに大きなものにはならないかもしれませんが、我々の意欲だけは大きいです。これから多くの方のご参加、ご協力が必要です。是非、いらしてください。

 参加申し込みはHP参加申込からお願いします。

 

 

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December 10, 2019

臨床アドラー心理学シリーズを目指して

 拙編著『不登校に向き合うアドラー心理学』(アルテ)は今日9時30分の時点で、Amazonの「いじめ・不登校」部門で37位になっています。数冊売れるだけで相当変動するらしいので、これからも上がったり下がったりするのでしょう。それを見るのも楽しいです。それより早く書影が出てほしい。

 私がかかわったアドラー心理学本はこれまで6冊になります。いずれも共著か編著ですが、心理臨床分野におけるアドラー心理学、「臨床アドラー心理学」の紹介とその実践報告をメインにしてきました。

 アドラー心理学はアドラー心理学なので、臨床も何も区別も分野もない、と言われそうですが、それでは社会への訴求力が弱いとずっと思っていました。少なくとも専門家には見向きもされない。実際それが長い間の日本の実体でした。いわゆる「ムーブメント」の限界を、私は早くから気づいていました。となるとムーブメントの究極目標である、人類の平和への貢献に近づけないことになる。

 実は私がモデルにしたのは、ブリーフサイコセラピーです。

 日本では90年代の後半くらいだったか、短期で効率的、精神分析学のような過去志向ではなく未来志向、解決志向というアンチテーゼで一世を風靡しました。当時はまだ若かったブリーフセラピー界の個性あふれる先生たちが、ロジャーズ、精神分析学中心の心理臨床界に殴り込みをかけたように見えました。

 その際、故宮田敬一先生らが中心になって、様々な分野でブリーフセラピーを実践した本を次々に出していきました。

 学校、医療、虐待、トラウマ、発達障害等々様々な分野の本が出版され、「こんなにブリーフって使えるんだぜ。君も学びに来ないか?」というメッセージを発していました。

 そして日本ブリーフサイコセラピー学会は成長していきました。 

 アドラーもそうなればいいな、と思っていたところへ2014年頃からの『嫌われる勇気』の大ベストセラー、そして空前のアドラーブーム、アドラー本のラッシュ、私にも話が来たところで、これはチャンスと「宮田路線で行こう!」と思いつきました。

 志を同じくする仲間と話し合いながら、先ず理論編として『アドラー臨床心理学入門』、そして『スクールカウンセリングのためのアドラー心理学』『思春期・青年期支援のためのアドラー心理学入門』と続き、今回の『不登校に向き合うアドラー心理学』となりました。応用編として、遠見書房から『臨床アドラー心理学のすすめ』もあり、ラインナップも増えつつあります。

 次回作はいつになるかわかりませんが、医療(精神医療、看護、終末期など)、トラウマ、ひきこもり、身体(ボディーワークや武術、代替医療など)、スピリチュアリティ辺りをテーマにしたいですね。まだ発表になっていませんが、発達支援や保育は他の仲間が出してくれるそうです。「我こそは」と思わんアドレリアンは名乗りを上げてください。

 また、アドラー心理学だけに閉じこもるのではなく、他のアプローチや学派の方たちと議論して出すのもいいと思います。

 一緒に書けたらうれしいです。

 

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December 07, 2019

『不登校に向き合うアドラー心理学』が今日は2位!

 拙編著『不登校に向き合うアドラー心理学』(アルテ)は、今日のAmazonの「いじめ・不登校部門」で2位まで上がりました。

 今日、TwitterやFacebookに本と昨日のランキングを紹介したので、購入した方がいらっしゃったためかもしれません。ありがとうございました。

 出だしは順調ということで良かったです。

 

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『不登校に向き合うアドラー心理学』9位に

 先月出版した『不登校に向き合うアドラー心理学』(アルテ)は、まだ書影がAmazonに出ていませんが、12月7日の時点で「いじめ・不登校」部門で9位になっていました。昨日見た時は8位でした。一桁まで上がったので、うれしいです。

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 本書は数あるアドラー本の中でも、不登校に本格的に焦点を当てた初めての本だと思います。

 スクールカウンセラーや臨床心理士のような心理職だけでなく、スクールソーシャルワーカーや教師も執筆し、何より元不登校当事者やその保護者へのインタビューもあるところが、誰もが参加できるアドラー心理学らしいところであり、当事者参加が叫ばれる今の臨床界のトレンドにもかなっていると思います。

 少々固い作りではありますが、不登校支援とアドラー心理学はとても相性がよいことが伝わればよいと思っています。

 

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November 24, 2019

新刊出版!

 秋も深まってきて、昨日は勤労感謝の日、元々は新嘗祭という神道の祭祀で、一年間の収穫を祝う行事だったそうです。先日執り行われた大嘗祭は新天皇が即位して初めて行う新嘗祭のことらしいです。

 今年の私にとっての収穫の一つがあります。ちょうど先週にできあがったばかりです。

 新しい本を出版しました。

深沢孝之編著『不登校に向き合うアドラー心理学』(アルテ)

 Amazonには書影はまだ出ていないようです。

 アドラー心理学を学びに来る人は、不登校問題に関係する人がとても多いのを知っていたので、このテーマの本を出したいとずっと思ってきました。ここ数年の懸案事項で、ようやく完成にこぎつけました。

 私以外の執筆陣はアドラー仲間の6人、スクールカウンセラーや臨床心理学者だけでなく、スクールソーシャルワーカー、そして不登校児の保護者や当事者へのインタビューもいくつも入っています。

 その意味で、これまでのアドラー本とは少し構成や内容がユニークかもしれません。アドラー心理学の特徴や良さについて、説得力が増すといいですね。

 本書が全国の不登校問題に携わる方に届くことを願っています。

 よろしくお願いします。

 

 

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November 01, 2019

『学校コンサルテーションのすすめ方』

 アドラー心理学の名著の待望の翻訳です。今年5月に出ました。

『学校コンサルテーションのすすめ方 アドラー心理学にもとづく子ども・親・教職員のための支援』(ドン・ディンクマイヤー・ジュニア、ジョン・カールソン、レベッカ・E・ミシェル著、浅井健史・箕口雅博約、遠見書房)

 1973年に初版が出て、改訂を重ねて最新版は2016年に出版、本書はその全訳です。

 序文は現実療法のウィリアム・グラッサーが書いていますね。

 主にスクールカウンセラーや学校で相談活動をする人向きではありますが、コンサルテーションの要諦が丁寧に、広範囲にわたって解かれています。アドラー心理学のエッセンスが詰まっているので、アドラー心理学を学んだ人はもちろん、まだ学んでいないスクールカウンセラー、臨床家にも大変参考になると思います。

 実は私、この原著を3年前にここで紹介したことがありました。

『Consultation』

 そこでも私は、「どこかで翻訳して出してくれないかなあ」とぼやいていますが、遂にとても読みやすい翻訳で現れたことに大変喜んでいます。アドラー心理学が心理臨床、とりわけコンサルテーションにとても有用であることが世間の公認心理師、臨床心理士などの援助専門職の人たちに伝わればいいと思います。

 本書の他にも、優れたアドラー臨床本は何冊もあるので、是非出版社の皆さん、ご検討ください。及ばずながらご紹介、ご協力させていただきますよ。

 そして本書の翻訳者、浅井健史先生と箕口雅博先生は実は私たちと共に、日本個人心理学会を立ち上げた仲間でもあります。

 本書の刊行を記念して、という意味合いも込めて両先生を講師になっていただいて研修会を実施します。すでに多数のお申し込みをいただいています。

 アドラー心理学にもとづくコンサルテーションの理論と実践

 研修会は11月9日(土)、もうすぐです。

 是非、ご参加ください。

 

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October 17, 2019

10月20日はアドラー・デー

 JR中央線、国道20号線は18日は復旧するようですが、中央線の高尾ー相模湖間は下り線一本のみの利用で1時間に1本程度しか走らず、特急は運休のようです。中央道はまだで、全面復旧には時間がかかりそうで、物流にも影響が出ています。

 山梨に半分閉じ込められた私は関東に出れられるかわかりませんが、今週末の20日(日)は、アドラー心理学のちょっとした集まりが東京であります。

 アドラー心理学の新しくできた学会、日本個人心理学会では午前10時から、駒澤大学深沢キャンパスで「会員の集い」を開きます。

 新しい学会への期待、希望、あるいは課題などを自由に、思い思いに語っていただく会にしたいと思っています。

 学会HPをご覧ください。

 そして、同日午後、日本アドラー心理学会関係者による、 

「日本アドラー心理学会関東地方区「アドレリアン大集合 in 関東~つながる・ひろがる・わかちあう」が開かれます。 

 場所は幕張メッセですね。

 素晴らしいシンポジストの面々です。

 新旧アドラー心理学学会の激突!…ではなく、示し合わせたのでもなく、偶然にも見事に棲み分けております。これをシンクロニシティ(by ユング)といいます。

 同学会員で、私たちの活動にも理解と協力を示してくれている方から情報提供を受けたのでした。ありがたいことです。

 時代は動いています。

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July 08, 2019

アドラー心理学にもとづくコンサルテーションの理論と実践

 昨日は日本個人心理学会の理事会があり、理事の私も出席しました。そこで、研修会や大会の打ち合わせをやりました。私にとっても初めての体験であり、なかなか大変です。

 既に会員の方には告知されていますが、学会第1回目の研修会を実施します。

 会員以外の方も参加できます(参加費は少し高くなります)

「アドラー心理学にもとづくコンサルテーションの理論と実践」

 11月9日(土)、東洋学園大学でやります。詳細は上記HPをご覧ください。

 スクールカウンセラー、公認心理師のような心理職はいまや、コンサルテーションの技能なしで仕事をすることはできません。ただこれは、これまでの1対1の面接室での「深いことが良い」志向のカウンセリングだけを学んできた人には不得手なところでした。

 ところが、アドラー心理学はまさにここが真骨頂、すでにアドラーの時代から、世界に先駆けてコンサルテーションを実践してきたのです。

 今回は、コミュニティ心理学とアドラー心理学を長年学んできたお二人の先生に講師を務めていただきます。

 箕口雅博先生は日本のコミュニティ心理学を牽引してきた方であり、浅井健史先生は同じくコミュニティ心理学とともに、アドラー心理学の文献研究、勇気づけの研究も長年され、学会での発表も豊富な方です。

 先生方は私たちの活動に賛同して参加してくださり、日本個人心理学会の理事も務めてくれています。

 お二人はこの春、アドラー派のコンサルテーションの基本テキスト、ディンクマイヤーの本を訳出、出版されました。

ドン・ディンクマイヤー・ジュニア、ジョン・カールソン、レベッカ・E・ミシェル著、浅井健史・箕口雅博訳『学校コンサルテーションのすすめ方』(遠見書房)

 コンサルテーションは、カウンセラーなど心理職だけのものではありません。援助職すべてのの人が関連してくるところだと思います。

 多くの人にはまだ知られていない、アドラー心理学の可能性を学べる時間になるでしょう。

 是非、ご参加ください。

 

 

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