用意不用力
「太極拳に学ぶ身体操作の知恵」には、太極拳のコツ、極意が10個解説されています。どれも太極拳学習者には大切なものですが、その中でも最も太極拳や形意拳、八卦掌などの柔派拳法の本質を言い表しているのは、
用意不用力(よういふようりき)かもしれません。
第6訣は「用意不用力」。文字通り「意を用いて力を用いず」という意味です。
特に型の演武ではこの訣語を守ることが大切です。これを守れば守るほどよい演武となる。しかし、まったく力を用いないということではない。からだを動かす以上、そこには力が必要です。
例えば、前蹴りの場合を考えてみましょう。片足で立ち、ゆっくりと前方に足を上げていく。これがなかなか難しい。
足は一つの重量物です。足の先端まで意念(=意識やイメージ、私注)を通し、その重量物をゆっくり持ち上げる。力は当然入っているのです。
しかし最小限の力を使うのであり、力んではならない。そのためには、からだの柔らかさが必要です。p114
太極拳は筋肉をやたらに固くしたり、力ませて突きを出すことを固く戒めることが、他の拳法との大きな違いです。
全身の力を抜ききり、極限的なリラックス状態を得ることこそが「最強への道」と考えます。
そこで大切なのは、高岡英夫氏の言う通り「ゆるむとたるむは違う」ということです。
単にたるんでだらだらするのではなく、力を抜いてゆるみきった果てに体からわき出てくる「別の質の力(勁と呼ばれる力)」を生み出そうとします。
そのためにこそ、太極拳特有のあの超スローモーションがあるのです。
蹴り足の慢練(緩慢練習)、つまり足をゆっくり持ち上げるトレーニングには重量挙げトレーニングと共通の要素があるのです。この意味で「力を用いずして力を養っている」ということができるでしょう。p115
「力を用いずに力を養う」には、ゆっくりと意識を込めて動くことが肝要です。つまり「意」を用いる。「意のあるところに気はゆく」ともいいます。
臨床心理学の世界で最近ちょっとしたブームの臨床動作法でも同じことを言いますね。「動きには意図が先行する」と。こっちの方がずっと早いけど。
太極拳に限らず、良い動きをしたいなら、「力を用いず、意を用いる」は極意の言葉となるでしょう。
ずっと以前この言葉について本ブログで書いた記事も参考までにご覧下さい。
http://taichi-psycho.cocolog-nifty.com/adler/2006/12/post_18f4.html



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