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これいいよ!

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February 06, 2025

『日本人が知らない!世界史の原理』

 反グローバリズムの言論をしている人をYouTubeなどで見ているうちに知ったのが、茂木誠氏

 朴訥で誠実な話しぶりが気に入り、時々氏が出ている動画を拝見しています。

 その茂木氏と歴史研究家の著作家、宇山卓栄氏がタッグを組んで世界史の流れを解き明かしたのが、

 茂木誠・宇山卓栄著『日本人が知らない! 世界史の原理』(ビジネス社)

 とてもよく売れているようです。

 古代、中世、近世、近代の東西の歴史の流れがわかります。

 お二人とも予備校講師をしていたので、わかりやすく話をする術に長けているので、複雑な世界史の人物や出来事が頭にスッと入ってきます。

 各国家や民族の動きを世界地図の上にイメージ化できるようになると、歴史はとても楽しくなります。

 現代社会の混迷を理解するには、世界史を理解することが必須の教養です。

 プーチンとウクライナ、イスラエルとパレスチナの相克を理解するには、中国や北朝鮮や韓国の行動原理を知るには、単に気に入るとかいないとか、人権とかの現在の価値観で考えると必ず外します。

 私は昔共通一次で世界史を取ったくらいだから、世界史の知識は相応にありましたが、やはり欠如や不足があります。

 そこを埋めてくれました。

 歴史が苦手な人も対談形式なので、本書から入るとよいですよ。

January 11, 2025

『ここまでわかった! コロナワクチン後遺症』

 今年年男の私は、いよいよ「嫌われる勇気」を存分に発揮して、「戦う年」にしようと思います。

 これまで私はネット等で活動している他の心理士や心理学者たちに比べると、政治やコロナ問題に批判的な方でしたが、トランプが米大統領になり、その巨大な波が世界を襲うことが予想され、これまで隠されていたことがどんどん明るみに出され、それに伴い強力な抵抗や争いが激化するかもしれないからです。

 そのトレンドのせいなのか最近は芸能界も大騒ぎですが、私は中居さんが何をしたかには全く関心がなく、単にミスディレクションで、この騒ぎによってそらされてしまう大事なことがあることに気づくべきだと思います。

 先ずは、コロナワクチンによる大薬害に関わります。

 これまで以上に公の場や講義、研修、授業、臨床現場、そして周囲の人たちにワクチンの問題を喧伝していきます。

 議論もします。

 ワクチン被害者の調査研究に協力し、心のケアにも携わります。

 それで嫌われても、仕事を失ってもかまわない。

 私の共同体感覚が、この状況で発言しないことを許さない。

 そこで啓発のために、まず一般の方にお勧めするのは、

 長尾和宏・小島勢二・岡田正彦・藤沢明徳監修『ここまで! コロナワクチン後遺症』(宝島社)

 ムックなので大きく、カラーでイラストや写真が満載です。

 コロナワクチンによるたくさんの後遺症、人体に有害であるメカニズム、レプリコンワクチンの問題点など、わかりやすく説明してくれています。

 これで基本的な知識を押さえましょう。

December 27, 2024

『気のはなし』

 武術や精神的なことに関心があると、必ず「気」にぶつかります。

「気」とは何か、どう考えたらいいか、真面目な人ほど考えます。

 心理学的な解釈もあるし、宗教的、スピリチュアル的な解釈もあるし、全く否定する立場もあります。

 臨床心理の世界では精神分析家とかユング心理学者が多少言及したことはあったけれど、気そのものにアプローチしたものは見当たらず、それぞれの理論の範疇から出ることはありませんでした。

 最近、最もバランスよく気について解説した本に出会ったので、紹介します。

 若林理砂著『気のはなし 科学と神秘のはざまを解く』(ミシマ社)

 著者は鍼灸師で、古武術をやったり、ブラジリアン柔術やカポエラもやったりしているそうですが、本書は特に武術方面からの気の解説はあまりありません。

 気に関心を持った普通の人向けに、あまり妖しく思われないように、慎重に、可能な限り幅広い視点で書こうという姿勢です。

 つまり古今東西、東洋哲学から東洋医学、西洋医学、現代科学まで網羅しようという意欲作で、とても面白かったです。

 孔子、老子、孟子、道教における気。

 易と風水における気。

 東洋医学における気。

 科学における気の研究の現状。

 養生や臨床における気の運用。

 ほぼ網羅していて博覧強記、よくここまで学んでいると感心しました。

 ただあまりにバランスが良すぎて優等生的な気がして、私的にはもっとぶっ飛んだもの、苫米地英人博士や物理学者の保江邦夫博士や古神道などの言説を好むのですが、これまでの気の世界の全体像を知りたい人は先ずは本書で勉強するといいでしょう。

 それでも最後の方で、著者自身の治療の時の感覚、体験を少し描いていて、やはりすごい気の感覚をお持ちで、それを実践されている方なのがわかります。実際に「気をリアルに感じることのできる」人なのだと思います。

 今度は遠慮せずに、バンバン開陳したものも読んでみたいです。

 妖しくたっていいじゃないか、人間だもの(笑)。

 本書によって、東洋はじめ現代社会において気は最重要の概念であり、思想であり、技術でもあり、そしてこれからの社会にも必要なものであることを理解できると思います。

 強くお勧めします。

October 30, 2024

『サブカルチャーのこころ』

 私は児童、思春期の臨床を続けてきて、もう30年以上になります。

 児童相談所、精神科思春期外来・病棟、スクールカウンセリングと現場は変われど、たくさんの子どもたちに会ってきました。

 では、子どもの世界にとても詳しいかというと、そういうことは全くありません。

 コミックもゲームもアニメもアイドルも、特に関心はないので詳しくはありません。

 子どもたちからの話で、普通の大人よりその名前を知っているくらいです。

 私は私の好きなことに傾注しているだけで、彼らの世界に入ることはありませんでした。

 ただ、好きなことがあることは素晴らしいことだ、という一点で共感できるし、応援できるわけです。

 また、アドラー心理学やブリーセラピー、家族療法などを使っているのも大きいと思います。

 だから、アニメやオタク文化に詳しくなければ、子どもの臨床はできないということはありません。

 評論家ではないからね。

 ただ、どういう世界に今の子どもたちはいるのかは知っておいた方がよいでしょう。

 私とは反対に、オタク文化などサブカルチャーが好きではまっている若手(おそらく)の臨床家たちが集まって書いた本がとても面白い。

 笹倉尚子・荒井久美子著『サブカルチャーのこころ~オタクなカウンセラーがまじめに語ってみた』(木立の文庫)

 たくさんのテーマを取り上げていて、単なる好きなものの紹介だけではなく、心理学的な考察も加えられていて、とても参考になりました。

 例えば、鬼滅の刃、呪術廻戦、フォートナイト、機動戦士ガンダム、ジャニーズ、アイドル、声優、K-POP、仮面ライダー、ヴィジュアル系、スターウォーズ、ホラー映画、新選組もの、2.5次元舞台、若手俳優、宝塚歌劇、TRPG、人狼ゲーム、ゴスロリ、異性装…

 こんなにいっぱいあるんだと、おじさんは驚きます。

 ジャニーズ問題の前に出た本なので、そのまま使われていますが、かえってその頃までのアイドル文化の様相もわかります。

 これで仕入れた知識で子どもの前で知ったかぶりをするときっと恥をかくので、おじさんカウンセラーは本書で得た知識を参照しながら、黙って子どもの話を聴いてるのがよいでしょう。

 ついでに、武術や格闘技をも入れてほしかったけど、やさしいオタク臨床家の目には入らなかったのかもしれません。

October 08, 2024

『私たちは売りたくない!』

 コロナワクチンに反対する書籍の中で、最もインパクトが大きいのが最近話題の本です。

チームK『私たちは売りたくない! ”危険なワクチン”販売を命じられた製薬会社現役社員の慟哭』(方丈社)

 何といってもワクチンを売る当事者たちによる告発本であり、発売同時に売り切れ、今重版待ちなのかな。私は待ちきれず電子書籍で購入し、一気読みしました。

 この秋、レプリコンワクチンを販売するMeiji Seikaファルマ の現役社員がやむにやまれぬ思いで、コロナワクチンがいかに危険で問題をはらんでいるものかを訴えています。

 内部情報を暴露した内部告発ではありません。むしろ国等で公開されている情報のみを基にして、懇切丁寧に説明しており、その点で誰もが納得できる内容です。

 内容的には私はほとんど既に知っていましたが、さすが、日頃医師たちに薬の説明と営業をしているMRさんたちだけあり、実にわかりやすい。

 なぜ製薬会社社員が自らへの危険をかえりみず、本書を出すに至ったのか、それは執筆者の20代の同僚がワクチン接種後数日して亡くなったという事実に衝撃を受けたためとのことです。

 このワクチンの異常性に気づいたのでした。

 そして、思いを同じくする仲間たちで密かに調査や執筆を始めたたそうです。読むと彼らの思いが伝わってきます。

 コロナワクチンの実態を知るために絶好の入門書であります。

 詳細は本書を手に取って(ダウンロードして)お読みください。

September 29, 2024

『パンデミック13のひみつ』

 暗殺されたJ・F・ケネディ大統領の弟で司法長官だったロバート・ケネディ(この方も暗殺された)の息子であるロバート・F・ケネディ・ジュニアは勇気ある人です。

 元々民主党員で大統領候補の一角を占めるぐらいの立場でありながら、近年の行き過ぎたリベラル全体主義の民主党に愛想をつかし、今回の大統領選ではトランプ支持を表明しました。

 なぜケネディ氏はそのような行動に出たのか。

 彼は本気で、今のでたらめな民主党と、それが作り出した世の中の流れに憤っているからです。

 ロバート・F・ケネディ・ジュニア著『303の文献から判明したパンデミック13のひみつ』(経営科学出版)

 本書では、たぐいまれな調査能力を持つケネディ氏が、多量の文献から抽出したコロナ・パンデミックの不都合な事実をコンパクトにまとめて告発しています。

 豊富な図表によって、ワクチンなどコロナ対策の問題について、アメリカの状況とともにわかります。

 13のひみつとは以下の通り(元の文章を簡略にしているところがあります)。

1.ワクチンは本当に人を救い、パンデミックを終わらせたのか?

2.ワクチン接種率が最も低い国で最も死亡者が少なかったのはなぜか?

3.ウイルスも感染も防げなかったワクチン

4.ワクチン接種者はよりウイルスに感染しやすくなる

5.ワクチンは死亡や入院のリスクを低下させない

6.ワクチンによる疾患数と死亡率の高さは、ワクチンの有効性を帳消しにする

7.集団ワクチン接種の後、世界的死亡者数が増加した

8.製薬会社とCDCは主要メディアの協力を得て、重篤な疾患と死亡の報告データを隠ぺいした

9.政策に対する批判への検閲と差別があった

10.私の予測は「陰謀論」から「証明された事実」になった

11.ファウチ博士の方針は公衆衛生のためではなく、貧困層、子ども、労働省階級を壊滅させるためだった

12.アメリカは権利章典に対する前代未聞の攻撃に耐えている

13.権利のはく奪と中産階級の所得減による反乱は、今後どう転ぶかわからない

 

 

September 23, 2024

質の良い筋トレ

 筋トレをすることの重要性は、体育、スポーツの競技力向上だけでなく、最近はメンタル面にも良い影響があることが知られてきました。

 ただ、筋トレによってパフォーマンスが落ちてしまうことも実はよくあります。

 筋肉をつけたことでかえって動きが悪くなってしまうことは以前から知られていました。実際筋肉量は増えたけれど、かえってリラックスしたり、効率的に動くことがしにくくなって、勝てなくなった、打てなくなった、メダルを逃した、なんて話をいくつもきいたことがあります。

 それで「筋トレ否定論」的なものが、武道界やスポーツ界にも根強くありました。今でも「力の絶対否定」といった言葉で、筋トレで無駄な筋肉をつけることを戒める考えが武術界にはあります。私の属する中国武術の団体もその一つです。

 私の先生は、「お箸を持つ力があればいい」なんておっしゃっていましたから。

 ではそういう武術では筋トレをしていないかというと実はそうではなく、型や基礎練習などを通して、自然に身体に負荷をかけながら、呼吸や意識の操作も加味しながら、独特の筋トレをしていたとも考えられます。そして、やわらかく動きながら、強い力を出せる身体を作り上げていっているのです。

 つまり、筋トレはいいか悪いかという二分法ではなく、やり方がある、質の良い筋トレと悪い筋トレがあると考えるべきなのです。

 今からおよそ30年以上前、武術・武道の知見をいち早くスポーツ科学に取り入れ、トレーニング界に衝撃を与えた概念が現れました。

「レフ筋トレ」です。

 提唱したのは高岡英夫氏です。本ブログでも度々紹介した「ゆる体操」の開発者です。

 レフとは「洗練された refined」からの高岡氏の造語で、反対に質の悪い筋トレを「ラフ筋トレ」といいます。粗い(rough)から来ています。

 ラフ筋トレは、筋肉さえつけばいいだろうと、やたら負荷をかけたり、力みながら、「うーん」と顔をしかめながらやったりする緊張感マックスの筋トレです。

 確かに筋肉がつきます。見栄えだけを第一にするならそれでいいのですが、「使える筋肉」にはなりません。

 レフ筋トレとは一言でいうと、身体を徹底的にゆるませながら、身体の目的の部位に意識を向けながら、丁寧に筋トレをすることであると思います。

 レフ筋トレの考え方は30年前の当初は理解されにくかったようですが、一部の一流アスリートが注目してトレーニングに取り入れたり、実際に高岡氏の指導を受けたりして成果を見せたために、我が国のトレーニング界に静かに、深く浸透していったようです。

 そしてそれが、近年の日本人選手の世界での活躍につながっているようです。パフォーマンスしている当人は、レフ筋トレなんて言葉は知らないとしても。

 そのレフ筋トレの考え方と方法を、高岡氏自らが久しぶりに明らかにしたのが、

 高岡英夫『レフ筋トレ 最高に動ける体をつくる』(講談社)

 正しい筋トレを知りたい方、学びたい方は是非試してみてください。イラストや文字だけだとわかりにくいところは、登録(無料)すれば動画で確認できます。

 心身に良い影響があると思います。

August 13, 2024

『書いてはいけない』

 この時期になると、あの日を思い出します。

 1985年8月12日、日本航空123便の墜落事故です。

 当時私は、大学2年生の夏休みで甲府に帰郷中でした。あの日の夕方、テレビから「日航機が行方不明」というニュースが流れてきて、紅い空を見上げてなんだか不安な気持ちになったのを今でも思い出せます。

 後で日航機は山梨の大月上空で大きく旋回して、長野県方面へ向かっていき、御巣鷹山に墜落したという話を聞いて、「自分の近くを飛んでいたんだ」と思ったものでした。

 以来、あの事故は本当は何だったのか、心のどこかでずっと気になっていました。

 そういう日本人は少なくとも私と同世代、80年代を生きた人は持っているのではないでしょうか。

 あまりにも印象的な出来事でした。

 そんな人は、森永卓郎さんがガンで余命わずかと宣告された中で、命を懸けて暴露した本『書いてはいけない 日本経済墜落の真相』(三五館シンシャ)を読んでおくべきです。

 この中で、日航機墜落事故の真相について森永さんは根拠を示しながら非常に論理的に、説得力のある形で考察しています。

 森永さんによると要するに、あれは事故ではなく人災、事件だったのです。

 自衛隊がなぜか誤ってミサイルを日航機に当ててしまい(おそらく伊豆稲取沖で国産巡航ミサイルの洋上実験中のアクシデントか)、垂直尾翼が破損、傷ついた日航機はそれでもなお自衛隊出身の機長のすぐれた機体操作で何とか飛行を続けていたにもかかわらず、日本政府(当時は中曽根内閣)は救おうとせず、むしろ日航機が不時着したがっていた米軍横田基地に着陸することを許さず、墜落に誘導していった。

 そして恐るべきことに、救助を装った自衛隊は墜落現場に入って周囲を火炎放射して証拠を隠滅した。生き残っていたかもしれない人は焼き殺されたに違いない。その後国は、「やむを得ない事故だった」というストーリーを捏造した。

 ということです。

 なぜそんなことをしたのか。当時は自衛隊の風当たりは今よりはるかに強く、自国の軍隊が国民の乗る民間機を撃ち落としたなんてことになったら、政権が吹っ飛ぶのは間違いなかったからです。

 信じられないと思う人はいるでしょう。国がそんなことをするなんてあり得ない、と。

 でも終戦後の満州で関東軍が日本人住民を見捨ててさっさと逃亡したことや、数々の薬害や公害、そしてコロナワクチンの大薬害を考えると、十分にあり得ます。

 いざとなったら国は国民を守らない。そんなケースはたくさんあるのです。

 本書を読んで、そして森永さんが提示する情報を考えてみてほしいです。

 この日航機墜落について、私自身は似たような話をどこかで読んだか聞いたことがありましたが、断片的でよくわからないところがありました。本書で丁寧にそのプロセスを追えたのはよかったです。

 他にジャニーズ問題と財務省の問題も取り上げていて、とても面白い本です。

 森永さんは長いことテレビにコメンテーターとして出演されていましたが、絶対のタブーが、ジャニーズ問題と財務省の緊縮財政批判、そして日航機墜落事故だったそうです。これに触れるとテレビに出られなくなったそうです。

 社会には絶対にタブーが存在します。それを暴露してくれる人の存在は、社会にとっても貴重です。

 おそらくタブーを守らせる側の人たちにも、実は必要なのです。彼らの中にも目覚めが悪い人が少なからずいたでしょう。おそらく当時関わった自衛隊の中にも、良心の呵責に苦しんだり、精神に変調をきたした人、自殺までした人もいたかもしれない。

 中曽根首相(当時)は「墓場まで持っていく話」があると漏らしていたそうだけど、もしかしたらこのことかもしれません。

 でもね、因果応報の法則は覆らないのよ。墓場に入った後、地獄に落ちないためにも、タブーはこの世で明らかにしてほしいものです。

 そして、森永さんのやけくそのような勇気に感謝です。

August 05, 2024

『カレーライスと餃子ライス』

 極めて暑い日々ですが、そんな夏はカレーを食べたくなる人が多いらしいです。

 この間の「アド街ック天国」でも『カレーの美味しい街ランキング」をやってました。

 早稲田や神田神保町の行ったことのある店が何件も出ていて、懐かしくなりましたね。

 なぜ夏にはカレーなのか、単なるインドからの連想に過ぎない気もしますが、暑さで食欲不振の人にはスパイスが訴えるというのが衆目の一致するところのようです。

 でも私の場合、一人で外食の時はもっぱらラーメンを探していました。

 夏はつけ麺か冷やし中華が多いけれど、熱いラーメンをすするのもオツなものでした。

 ただ、最近年のせいか、ラーメンに惹かれなくなりました。行ってもさっぱり味の中華そばか塩ラーメンで、家系だと食後もたれてします。

 そんな気分の時に書店で目にとまったのが、

 片岡義男『カレーライスと餃子ライス』(晶文社)

 カレーに関するエッセイ集です。

 餃子ライスは著者のあとがきによると、「ページ数が足りない」と編集者に言われたので、小説一編を書き下ろしたそうで、本書のメインはカレーライスです。

 カレーではなく「カレーライス」と「正式名称」でタイトルも中身にも書かれているのは著者のこだわりなのか、世代なのかはわかりませんが、本格インドカレーというより喫茶店などの「日本的カレー」が多く登場します。片岡義男はカレーライスを頻繁に食するようです。小説家の日常が見えて興味深いですが、片岡義男が書くとやはり何となくかっこよくなります。これといって特別かっこよい話はないのだけれど。

 大体、片岡義男を読むのは久しぶりでした。

 高校生の時小説を読み始めた頃、『スローなブギにしてくれ』などの片岡作品がヒットしていて、私もいくつかの作品に触れました。都会的で、大人の世界を垣間見せてくれて、田舎の少年は片岡義男という人に憧れに近い思いを持ちました。

 本作を出版したのは2016年で、1939年生まれなので当時77歳だったようです。今は85歳になるのか。お元気なのでしょうか。

 十分に後期高齢者ですが、本作の文章は力が抜けていて、それでも相変わらずの男前の生き方が感じられます。

 そして、今の私はランチを外でするとき、自然にカレーライスを探し求めるようになっています。

 

 

July 27, 2024

『”則天去私”という生き方 心理学からスピリチュアルリズムへ』

 心理学者や科学者の中には、時に専門領域を超えて宗教的、スピリチュアル領域に興味を持つ人がいます。

 その多くは功成り名遂げた後、晩年になってその関心が芽生えてきたという印象です。

 臨床心理学領域でも、若い頃はバリバリの唯物論者、科学主義者、「治ればいいだろう」的発想の人だった人が、中年期を過ぎる頃に急に宗教的になる人がいます。その中には相当の臨床の達人で、斯界では有名な第一人者もいます。

 そういう方たちはたいていの場合、何とかそれまでの専門領域を維持しながら、宗教的、スピリチュアル的なものを統合していくような方向を目指すことが多いようです。臨床やカウンセリングの中に、スピリチュアル的要素を組み込む、というように。

 しかし、心理学から「卒業」して、スピリチュアル領域に完全に「転向」する先生がいました。

 私は知人から教えていただき、その名を聞いて仰天しました。

 その方は、三上直子先生という心理学者です。

 一般の方は知らないかもしれませんが、「統合型HTP」の開発者として有名な方です。

 私は児童相談所や精神科勤務歴が20年以上と長かったので、膨大な数の心理テストを実施してきました。

 一番数が多かったのは知能テストで、次は描画テストでした。絵をクライエントさんに描いてもらうテストですね。樹木画(バウムテスト)や風景構成法などがよく知られています。

 その描画テストの中で、最も私が愛用していたのがこの統合型HTPでした。

 とても簡便ながら、多くの情報を得ることができる優れた心理テストです。

 若い頃、このテストを学ぶために描画法の学会で三上先生のワークショップに参加したことがあります。先生はとてもエネルギッシュで、細かく指導してくださった記憶があります。参加者は100人近くはいましたね。大人気講師でした。だから直接話したことはないけれど、私の臨床生活で大変お世話になったお一人ということができます。

 三沢直子『“則天去私”という生き方 心理学からスピリチュアルリズムへ』(コスモスライブラリー)には、先生がなぜ第一線の心理学者をやめて、徹底したスピリチュアリストに変わっていったかの自伝的記録です。(本書では三沢を名乗っています)

 その軌跡はとても珍しく興味深いものでした。

 そしてさらに面白いのは、本書の後に出版された先生の数々のスピリチュアル本。

 それらは、著名人の霊を神代である仲間の女性に下して、先生が審神者役としてインタビューするという、驚愕のぶっ飛んだ内容なのです。

 下ろす霊は、アインシュタイン、スティーブン・ホーキング、湯川秀樹、南部陽一郎といった物理学者、夏目漱石や三島由紀夫、手塚治虫といった文学者や芸術家など数多く、そしてなんとフロイトや河合隼雄という心理学者まで「召喚」しています。

 そして彼らに対して、神霊の世界の構造について、社会の行く末についてなど、忌憚なく質問をしていくのです。

 もう、ビックリです。

 これだけの大物を呼び出すくらいだから、彼らが神代を通して語る内容は確かに論理的で明快で、巷のスピ系本みたいなあいまいなところはありません。

 むしろ、けっこう厳しいことも出ています。

 それらの現象が本当に起こったのかどうか、本当にその人たちの霊だったのかはわかりません。

 私でも内容を消化しきれてはいません。

 でも、すごく興味深い。

 よろしかったらトライしてください。

 三上直子-Amazon

 機会があったら先生に改めてお会いしてみたいです。

 そして、アドラーも呼び出していただき、お話ししたいですね。

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