June 23, 2018

手当ての極意

 長谷澄夫『なぜ母親は、子どもにとって最高の治療家になれるのか?』(和器出版)により、著者が「和整体」と名付けるセルフケアの考え方をメモします。

 ちなみに著者が治療家の世界に入ったきっかけは、19歳の時の空手の稽古での大けがだったそうです。

 本書でいう健康になるポイントは、

 一つ目は、不調をいち早く察知する力。

 二つ目は、不調から回復する力。

 三つ目は、不調をつくらない、再発しない力。

 正常に働いてほしい機能というのは、この3つです。

 身体が発しているサインに敏感になる、ここが始まりです。  p59

 身体が敏感になるためには、「骨格が正常であることと、内臓が正しい位置にあって正しく機能していること」が重要とのことです。

 そして、セルフケアの基本は、「手当て」を文字通りに実践することです。痛みを感じる部位に手を当てて、深呼吸をすることです。とてもシンプルで、タイトルにある通り、お母さんの「痛いの痛いの飛んでけー」が理想です。

 母親というのは、子どもにとっては、最高の医者であり、治療家です。 p68

 恐るべきは母のエネルギーです。

 昔から〈手当て〉とよくいいます。文字通り、手を当てることです。どこか痛いところがあれば、無意識に痛みのあるところに手を当てます。あれは、人間の悪いところを治そうという本能からくるものです。・・・・セルフケアの〈手当て〉も、母親が我が子に対する〈手当て〉と同じです。  p73

 実際の具体的な技法や内臓の反射点という手当てのポイントは、本書にイラスト入りでわかりやすく出ています。

 心理臨床分野では、愛着障害の治療や臨床動作法などに通じるところがありそうに思いました。

 私が関係者から聞いた話では、著者の真骨頂は身体のレベルだけではなく、気や霊の次元にも及ぶそうですが、本書は一般の人たちへの整体的セルフケアの入門書としてとても優れていると思います。

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June 21, 2018

『なぜ母親は子どもにとって最高の治療家になれるのか?』

 臨床心理学を生業にしていると当然カウンセリングや医療、福祉畑の人の知り合いが増えます。

 一方、太極拳や気功法も長くやっていると、東洋医学とかの代替医療のいわゆる治療家や関係者につながりやすくなり、たくさんの情報が集まってきます。
 私の生徒さんにも腱引き療法や整体をやっている治療家さんがいます。その人から「すごい人がいる!」と聞いていた治療家さんの本が出ていました。

 奇しくも懇意にさせていただいている七沢研究所のところからの出版ということで、手に取ってみました。

 長谷澄夫『なぜ母親は、子どもにとって最高の治療家になれるのか?』(和器出版)

 著者はその世界で有名らしく、治療家の先生みたいな人らしいです。「先生の先生」といわれたアドラー心理学のドライカーズみたいです。

 中身を見たら現代の科学的にもすごく全うなところを踏まえながらも、さすがそこを超えていく、または違う世界からの治療観や方法にも触れられていて、すごくおもしろかったです。こういうのが次の時代の標準になっていくといいと思いました。

 中身は次回少し触れます。

 

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June 18, 2018

大谷選手と肩甲骨

 メジャーリーグでも大活躍の兆しを見せた大谷翔平選手が、残念なことに故障者リスト入りしてしまいました。

「ベースボールチャンネル」というサイトで、高岡英夫先生が大変興味深い分析をした記事が出ているのでリンクします。

 運動科学から見た、打者・大谷翔平のパフォーマンスの高さと故障の原因

 運動科学研究の第一人者であり、5月7日に『肩甲骨が立てば、パフォーマンスは上がる!』を上梓した高岡英夫氏は、今回の大谷選手の右肘の故障の主たる原因を「MLBでも類を見ないほどの柔らかさを誇っていた肩甲骨の可動性が5月中旬を過ぎるあたりから急激に低下してきたこと」と分析する。
 
 さらに高岡氏は「大谷選手のように肩甲骨を肋骨の上で大きく滑らかに動かすことができると、そのぶん肩関節と肘関節の負担は大きく減り、一方肩甲骨が腰の安定+キレを呼ぶので下半身のパワーが増し、上半身はただそのパワーに乗っていけばよいという関係になるので、二重の理由で肩関節と肘関節へのストレスが無くなる」と言い、「開幕から1カ月半、4月から5月半ばまでの肩甲骨の柔らかさと腰の安定+キレがキープできていれば、ピッチング、バッティングそれ自体で肘関節を故障することは決してなかった」と言い切る。
 
 そして「身体の硬縮を緩解し疲労を積極的に解消するための専門的な体操法・マッサージ・休養法・栄養管理法などを上手に導入することで、肩甲骨周囲を中心とした全身の筋肉群の疲労による硬縮を恒常的に取り去り、2度と再び右肘を故障することがない体制をつくることが必要不可欠」と語る。
 
 その高岡氏に大谷選手がMLB1年目の開幕スタートからなぜあれほどの素晴らしいパフォーマンスを発揮できているのか、運動科学を駆使した“大谷選手のパフォーマンス”の解析をしてもらった。

 詳細は物理的に詳しい説明がされている記事をお読みいただきたいですが、肩甲骨が肋骨からはがれていると思えるほどゆるんでいる状態が、高いパフォーマンスには必須ということです。 

 この状態を高岡先生は「立甲」と呼んでいます。

 武道をやっている人なら肩甲骨の重要性を自覚している人が多いと思いますが、実は太極拳や形意拳などの中国武術では、肩甲骨や肩関節のゆるみをかなり重要視しています。日々、厳しく、熱心に稽古するところです。「含胸抜背」という秘訣が関係するところでしょう。

 日本の武道では、合気をかけるときなどに重要になってくると思われます。

 ところが普通の人は、高岡先生が言っていることが理解できる人がどれくらいいるでしょうか。
「肩甲骨が立つって、どういうこっちゃ?」という感じかもしれません。

 ほとんどの人は、肩甲骨と肋骨が一体となって、癒着したような状態になっていて、下手をすると肩甲骨自体を意識できていない人もいると思います。うつ病とか精神疾患を持っているクライエントさんは、特にガチガチの状態ですね。

 ここをゆる体操などでゆるませてあげると、皆さんとても気持ち良くなってくれます。

 私もゆる体操や気功法などの肩甲骨をゆるませるワークをすると、とても気分が爽快になります。

 肩こり知らずになれますよ。

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April 27, 2018

『食に添う 人に添う』

 非社会的な私にしては珍しく、消費者運動家の本です。
 
 
 著者の青木さんは、特に食、体に害がなく、本当によい食べ物を人々に提供することに人生をささげた人です。本書はその自伝になります。
 
「食といのちを守る会」の代表をされているそうです。
 
 本書に推薦文を寄せた七沢研究所の七沢賢治先生からいただいたので、読んでみたのです。普段ジャンクフードも好きで、あまり食に頓着しない私ですが、本書を読んで食と生命のつながりを大切にしなくてはならないことを教えられました。
 
 しかし別に何の食べ物が毒だとかを並べて立てて、いたずらに不安をあおっているわけではありません。
 
 青木さんが虚弱の息子さんに美味しくて体に良い牛乳を飲ませてあげたい一心で始めた、北海道の牛乳を共同購入により東京に持ってこさせようという小さな消費者運動が、どのような苦難を経て進んでいったか、広まったかを振り返っているだけです。
 その中で、青木さんがどのように悩んで、困難を突破したか、どのような素晴らしい出会いがあったかがつづられているのですが、「現代の菩薩のような」と評されているらしい青木さんの素直で屈託のない性格が伝わってきて、すごく好感が持てて、おもしろかったです。
 
 こういう人たちの運動なら、信用が置けると思いました。
 
 もちろん食に関する有益な情報もあり、私は牛乳業界の構造的問題を初めて知りましたし、黒酢や蕎麦、タラコ、ニンニクなど、食に関して関心の高い人は是非、手に取ってほしいと思いました。
 
 そして、青木さんは、よいものを食べて、ひたすら人々のために生きていたためか、自然とヒーリング的な能力が高まったらしく、彼女にさすってもらうとなぜか心身がよくなると評判が高まってしまいました。
 
 そして当のご本人も最初は半信半疑だったけど、実際に彼女がさすると驚くべき効果があると口伝えに広まり、いつしか彼女に癒してもらいたくてたくさんの人々、著名人が訪れるようになりました。すべて無料でやってあげてたそうです。なんとその中には、黒澤明監督やノーベル賞受賞者の小柴昌俊さんなど、何人も学者さんまで出てくるから驚きです。
 
 こんな人がこの世にいるとは。
 
 共同体感覚と勇気の塊のような青木さん、実は甲府のご出身です。本書の前半には戦中、戦後の甲府の生活の様子が描かれいて、それも興味深かったです。
 
 それにしても山梨からは個性的な人材が出るなあ、と改めて思いましたね。
 
  
 

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April 01, 2018

意識と動き

 先日某所で、古武術研究家・甲野善紀さんの息子さん、陽紀さんの講座に参加しました。
 
 お父さんが「自分より才能がある」と言うくらいで、確かに直観と論理がうまく組み合わされたとても面白い時間でした。
 
 陽紀さんのガイドでワークが進み、身体のどこに意識を置くかで、動きの質が全く変わってくる、そんな体験をしました。参加者もみんな驚き、笑顔になっていましたね。
 
 内容は詳しくは書けませんが、今回は膝や肘への注意の向け方でした。陽紀さんは武術家ではないので武術そのままではなく、ある意味で抽象化された内容ですが、具体的でもあり、日々の生活や稽古で使えるものでした。
 
 うまく消化して、アドラー心理学の「全体論」の講義の中で伝えられたら面白いと思いました。
 
 ところで、甲野さんみたいに、体のちょっとした使い方のコツを教えることが仕事になる、というのが今の時代です。
 
 昔は体を動かすのが当たり前で、武術にしろ、農業にしろ、各分野で体の効果的な体の使い方を伝承してきたと思うのですが、今はそれがほとんど途絶えてしまったのでしょう。
 
 甲野さんの仕事や、私らのカウンセリングや心理臨床も昔はなくてもよかったけど、今は必要とする人たちがいるらしい、とういことです。
 ただ、単に昔のほうが優れていたというわけでもなく、各武術のエッセンスを取り出したアプローチは甲野さん親子のほかにもいくつも出ているし、幸せになるための心理学的知見もアドラー心理学以降、より明確に洗練されてきているのは確かです。
 
 

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February 20, 2018

メダルの陰にゆる体操と古武術か

 平昌オリンピックでの日本勢の活躍は素晴らしいですが、ちょっと小耳にはさんだ情報を。
 
 あの羽生結弦君が、ゆる体操の「ゆるゆる棒」を使っていたのが、「めざましテレビ」で映っていたそうです。知人のゆる体操の指導者が教えてくれました。
 
 ゆるゆる棒とは、二本の棒を十字にかませて、その上に両足を乗っけてゆる体操をすることで、全身のゆるみを促進し、センター(正中線)を形成させるものです。私も1セット持っています。全身の脱力と身体の中心部分の適度な緊張感を同時に作ることができる体感があるので、けっこう重宝しています。
 といっても最近、やっていなかったので、羽生君を見習ってゆるゆる棒トレーニングを復活させたいと思いました。
 
 確かに羽生君の演技中のゆるみっぷりは半端ないものね。
 
 羽生君がゆる体操を習ったかわかりませんが、何かやそれ的なものをやりこんでいたのかもしれません。
 
 そしてスピードスケート金メダリストの小平奈緒さんは、なんと古武術を学んでいるそうです。これはニュースになりました。
 ゆる体操も武術由来だし、武術をやっている者としてやはり、うれしいですね。
 
(転載貼り付け)
 平昌五輪スピードスケート女子1000メートルで銀メダルに輝いた小平奈緒。強さのベースには、古武術がある。びわこ成蹊スポーツ大の高橋佳三教授(43)が約10年にわたって教える。「小平奈緒という選手を形づくるピースとして役に立てたとしたらうれしい」と活躍を見守る。
 小平は氷に乗る前、歯が1本しかないげたを履き、スケートを滑るように尻を落とす姿勢を保つ。体の感覚を確かめるため、古武術にヒントを得て取り入れた独自の調整法だ。
 古武術は明治維新前の日本の武術の総称で、高橋教授はスポーツへの応用を研究している。小平との出会いは2007年。筑波大大学院の先輩で小平を指導する結城匡啓コーチに頼まれ、信州大氷上競技部で講習したことがきっかけだった。その後は数年に一度、古武術に基づく体の感覚を伝えている。一本歯のげたもその一つ。「げたの上でも地面と同じ感覚で立つ感覚を紹介した」
 昨年6月には、肘と尻を意識しながら一定の姿勢を維持するポーズを教えた。厳しい負荷がかかるが、小平は男子よりも軽々とこなした。オランダ留学中も古武術の講習のネット動画を見ていたという。
 あるとき、「相手がいても、いなくても一緒」という中国武術の言葉を紹介した。500メートルで5位だったソチ五輪を「メダルがちらついた」と振り返っていたことを知り、「相手やゴール、タイムを目標にすると、その目標の手前で止まってしまう」と伝えた。
 小平は14日の1000メートルで銀メダルを獲得した後、「しっかりと諦めずに、ゴールラインの先まで、実力を出し切れたかなと思う」と語った。その言葉を聞いた高橋教授は「伝えたことが彼女の言葉として出たのを聞くと役に立てたと思う。500メートルも力を出し切れば、結果はついてくる」と期待する。

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January 16, 2018

霊性修行としての武術

 
 武術・武道の目的には健康や養生、護身、心の鍛錬などいろいろな表現がありますが、著者は本書に登場する武術家のたぐいまれな体験を通して、現代の武術・武道に欠けているのは「霊性」への着目であると主張したいようです。
 武術・武道は明治維新後の近代化、第二次世界大戦の敗戦とGHQの占領によってそれが、徹底的に失われてしまいました。
 
 身体の稽古や心の稽古は、武術を志す者なら誰もが多かれ少なかれ実践している。ところが、もう一つ、霊性の稽古となるとどうだろうか。かつての武術家にとって、霊的な修練、霊性の修業は、おそらく当然のことだった。それは、身体や心の稽古を積むことと同様に、武術と呼ばれるものの不可欠の一部を成していた。ところが、時代を下ると、合理主義の隆盛もあって、武術における霊的な側面はわすれられていくことになる。
 この傾向は近代武道にあっては甚だしい。・・・・  p4
 
 武術はそもそも神霊や異界の存在を前提としていたのだ。となれば、そのような文化的文脈のなかで師範の経験を眺めてみてはじめて得らえる知恵があるかもしれないではないか。 p23
 
 霊媒を介した神霊や異界との関わり。そして、それに伴って経験される複雑な感情。私たちはそうしたあれこれにけして無縁ではない。何十年か前まではまことにありふれた事象だったのだし、それ以前に気が遠くなるほど長い伝統もあったのだ。私たちにはもともと、そのように経験したり感じたり理解したりする傾向が内在しているにちがいないのである。
 何が非科学的といって、この事実を無視することほど非科学的なことはない。少なくとも心的な現実としては、神霊や異界は厳然として存在していた。いや、今でも存在している。私たちは神霊や異界に畏れと期待を抱くではないか。素直に注意を向けてみれば蠢いているのがわかる。私たちの感覚や気持ちのなかにあるものを、あたかも存在していないかのように無視してはならない。未知なるXの存在を否定しない態度こそ、真の科学的態度だろう。 p24
 大変重要な指摘だと思います。
 
 ここでさらに考えるべきは、霊性とは何か、ということですが、著者はユング心理学の「個性化」という概念を軸にしていきます。全体性への回復、という意味ですが、心の奥底にある「集合的無意識」「類心領域」からの働き、あるいはそこへのアプローチが重要になるようです。
 
 深層心理学の真骨頂です。
 
 ただ、私としては、下へ下へ深堀りしていくようなアプローチだけでいいのか、長年疑問を感じていたところでもあります。そうしたい気持ちはわかるけど、果たして「深層」が「霊性」に至る道かというと難しいかもしれないという思いがあります。
 
 トランスパーソナル心理学のケン・ウィルバーが昔、「カテゴリー・エラー」と呼んだ、深層心理と霊的なものを混同しているとユング心理学に対して批判したことを思い出します。私は、その批判はけっこう妥当だと考えてきました。
 
 身体と深層心理と自我(心理)と霊性の関係は、マインドフルネス瞑想が流行った後、ユング心理学以外でも臨床心理学のトピックになるといいと思います。私もいつか、アイデアを出せるようになりたいです。
 
 

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January 13, 2018

『武術家、身・心・霊を行ず』

 武術、武道と心理学を絡ませるなら昨今はマインドフルネス瞑想ですが、これはユング派からの真逆のアプローチです。
 
 
 これは大変面白い。
 面白いけど、ある意味で臨床心理学のみならず武道系の数ある書籍の中でも「奇書」と呼ばれるかもしれません。
 
 ある古流の武術を修める極めて優秀な老武道家が極限的な修行の過程で、驚くべき神秘体験を重ねていく、その記録を著者が託され、報告したのが本書です。
 
 ただの気の感覚とか、マインドフルネスな気づきなんてものではない。憑依、念写、ポルターガイスト、幽霊などが例え話ではなく、本当の体験として堂々と次から次へと出てきてます。
 
 極めつきは、その武道家の修する流派の江戸時代の先達(流祖)の霊がなんと稽古仲間に憑依して、直接に失われた武術の奥義を伝授したというのです。夢の中に登場して極意を授かった、なんて話はよく聞きますが、これはすごい。いや、そんなこと、あり得るのか。
 
 これは普通の心理学者なら絶対に触れないか、言わない領域です。そこをさすが、ユング派の老松先生は老武道家の報告に戸惑いながらも、その人の「心的現実」に入り込んで丹念に追いかけ、ユング心理学的な解釈を試みていきます。その内容もユング心理学の勉強になって面白い。
 
 一言で言ってしまうと、武術を通しての「個性化」の過程ということになるのですが、本書の魅力はそこからもあふれ出るような老武道家の存在感、圧倒的な神秘のエネルギーにあります。
 
 著者の老松先生とは、2010年の東北大学であった心理臨床学会の自主シンポジウム「武術と心理臨床」で、ご一緒させていただきました。私はシンポジストで、先生は指定討論者でしたかね。その頃先生は杖道をされていたように覚えています。
 
 その時以来お会いしていませんが、今度その機会があったら、絶対本書の話をうかがいたいです。
 
 武術・武道家兼心理屋さんは、絶対に読むといいです。立場によっていろいろな思いや解釈がわくでしょうけど、それも思考の訓練になるかもしれません。
 
 私は、心理臨床家としてではなく、武道修行者、神秘主義者として素のままに、解釈よりも体験世界に共感しました。きっとこういうことはあるのだろう、と。日頃、なまくら稽古しかしてないから、こんな体験は絶対ないでしょうけどね。
 

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May 03, 2017

うつぬけにゆる体操

 前記事でゆる体操のイベントをお知らせしましたが、そのゆる体操の開発者・高岡英夫先生が、実はうつ病体験があることを前月号の『月間 秘伝 2017年4月号』(BABジャパン)でカミングアウトしていました。
 
 うつの苦しみから抜け出すために、現在のゆる体操を創っていったようなのです。とても興味深い話です。
 
 生来の鍛錬好き、武術好きの高岡先生は日々、死と隣り合わせのような徹底的に厳しい稽古を続けながらの、大学での研究生活と家族を養うために働くことにより、30代前半、遂に心身の疲労が頂点に達し、朝起き上がれなくなり、気分が極度に沈んでしまったそうです。
 
 心身の能力に自信のあった先生は相当なショックだったようです。武道家やスポーツマンは元気で明るい人が多いから、「俺はうつにならない」と思い込んでいることがありますが、やはりけしてそうではないのですね。
 
 うつは誰でもなり得ます。
 
 先生は大学病院の精神科にもかかったそうです。そこで重度のうつ病と診断されました。
 
 うつに苦しみながらも、しかしそこは、類まれに優秀な高岡先生ですから、自身の心身の状態を見つめながら、ゆる体操的な運動(今の膝コゾコゾ体操)を少しずつ続けると、心身の変化を感じ、遂にはうつを抜け出しました。それからゆる体操を体系化して、今のスタイルに仕上げっていったみたいです。
 やっぱり優れた人は、転んでもただでは起きないというか、大したものです。
 
 本誌には、高岡先生のうつを抜け出すときの心身の感覚の変化が描写されていて、印象的でした。
 
(引用開始)
 最初に気が付いた変化は、身体の中の方から、ポーと灯がともるような温かさでした。主に腹の奥から脊椎まわりで、その温かさを感じたのです。それからもうしばらくすると、驚いたことに、頭の中で、トクン・トクンと血液が流れ始める音が聞こえてきたのです。あのとき感じた、トクン・トクンという音は、いまでも忘れることができません。頭の中がポーッと少しずつ温かくなってきて、しばらくの間、その音を聞き続けていたものです。
(引用終わり)
 身体感覚がすぐれている人だからこそのうつ病回復体験記です。
 
 私は初めてゆる体操を知ったとき、「これはセラピーに使えるな」と直感したものですが、その開発過程に、うつからの治癒があったとは、納得です。
 
 臨床家の方は、動作法とか自律訓練法とかの静的なリラクセーションだけでなく、動的なリラクセーション法であるゆる体操を参考にしてみてください。セルフケアの有力なツールになると思います。
 

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September 04, 2014

神門メソッド

 9月2日(火)は山梨県北杜市の八ヶ岳山麓のある場所で興味深いワークショップがありました。

「神門メソッド」を紹介するもので開発者の飯島敬一先生が、実に楽しいワークを展開してくれました。

 神門とは耳たぶの内側上部にあるツボで、ここを中心に耳たぶを引っ張ったり揉むと、自律神経の安定、肩こりや高血圧の改善、イライラや気分の安定や能力アップにつながるという驚くべき効果があるというのです。
 神の字が使われているだけあって、極めつけのツボらしいですよ。

 私の太極拳の兄弟子に当たる人が飯島先生とコラボの仕事していたり(下記のサイトの神門爆睡セミナーという動画で出ています)、私の生徒で治療師をやっている人が、飯島先生の東京のセミナーに参加してよかったという報告を受けたので、好奇心旺盛な私は地元山梨でそのご本人が来られるというので、早速参加したのでした。

 感想ですが、確かにこれはかなりいいかもしれない、という感触を得ました。目がスッキリとして気分も晴れやかになり、身体の柔軟性もいきなり高まりました。飯島先生も仰ってましたが、神門メソッドのいいところは即効性がある、すぐに効果を検証できるというところです。やってだめでも副作用もなさそうだし。

 医学者も注目しているということですが、これはちゃんと研究するといいのではないかと思いました。

 私は、何か具体的な対処法や緊急避難的な対応を伝えたいときにTFT(思考場療法)というツボ刺激による心理療法をよく使うのですが、神門メソッドもそのレパートリーに加えてもいいかもしれないと思いました。

 この方法、なかなかスピリチュアル的なところがあるから臨床心理士などは引いちゃうかもしれないけど確かな効果はあるようです。私は武術や気功を知っているので、別に驚きませんが。

 心理臨床家、カウンセラーはじっくりカウンセリングするのもいいけど、こういうスキルを知っておくことが非常に重要だと思っています。

 神門メソッド

 神門堂

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