November 05, 2009

文武両方の日

 11月3日の文化の日は晴れの特異日だそうですが、まさに快晴。でも東京はちょっと寒かった。私は忙しくて熱かったけど。

 午前中はヒューマン・ギルドで「アドラー心理学ゼミナール」に参加。

 アドラー心理学を学び実践している仲間が月代わりで講師となり、発表するというもの。今回は、山梨のアドラー仲間、佐藤丈さん(清里高根小学校教諭)による、「教育に活かすアドラー心理学」

 佐藤さんは、毎月のヒューマン・ギルドに欠かさず出席され、活発な議論に参加し、私の出た教育心理学会自主シンポジウムにもわざわざ静岡まで来てくれたりと、今私の知る限り最も熱心なアドレリアンです。

 そんな佐藤さんが類い希な素晴らしい実践をなさっていることは、日頃お話しさせていただく中でよくわかっていましたが、今回の講義を聴いて改めてその質の高さに感嘆しました。

 授業をするってこんなに楽しいことだったんだ、クラスがつながるとはこういうことをいうのだと分かりやすい話と動画とスライドで、手に取るようにわかりました。

 その様子は、岩井俊憲先生のブログで見ることができます。

 教育に携わる方は、是非、アドラー心理学のクラス会議(ただの学級会ではないぞ)を学んでほしい。

 午後は池袋の公会堂に飛び、私のもう一つのホームである全日本柔拳連盟の演武会、レセプションに参加。

 毎年この時期に開かれる演武会ですが、今年は王樹金老師来日50周年記念ということで取り分け盛大に行われていました。

 日本に誰が最初に太極拳を伝えたのか?1972年の日中国交回復後か?
 いえいえ、それよりもっと前、1959年に台湾・中華民国の推薦で日本に招聘された台湾の人間国宝・王樹金老師が初来日したときだったのです。
 これは明確な事実です。
 つまり今年は、日本に太極拳などの本格的な中国武術が伝わって50年なのです。

 それは当時けっこうなニュースになって、始まって間もないテレビにも出演したり、並みいる挑戦者をいとも簡単に弾き飛ばす王老師のけた外れの強さに、空手や柔道が中心だった日本武道界には衝撃が走ったといわれています。

 演武会では、王福来老師はじめ、伝統を守る老師たちの素晴らしい動きを凝視し、頭に焼き付けようとしていました。
 そのせいか、今日の自分の形意拳や太極拳の稽古では心なしか少しうまくなったような気が・・・。

 そして、その演武会では、推手(太極拳の組み手)の試合があり、私の主宰する教室の生徒が3人出場、全員が一回戦突破、一人はベストエイトまで進み、まずまずの結果でした。
 みんないつも熱心に稽古に来てくれた成果が出てよかったね。

 というわけで、私の主活動であるアドラー心理学と中国武術の2つの大事なイベントが重なり、まさに「心と体の文化の日」となり、なかなか充実した一日を過ごさせていただきました。

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October 23, 2009

宝地図を作る

 山梨の仲間でやっているアドラー心理学の学習会が先週末にあり、いつもはカウンセリングや勇気づけなどアドラー心理学のキーワードをテーマにしているのですが、今回はちょっと趣向を変えて、宝地図(トレジャー・マップ)作りをしました。

 宝地図とは、自己啓発系といっていいと思うのですが、その領域では割りと知られていて、非常に強力な目標実現、願望実現法とされています。

 大きな画用紙やコルクボードなどを使って、中央に自分の写真を貼り、その周囲に自分の夢やゴール、達成したいことをイメージできる写真や図像を直感的に貼っていくものです。

 ゴールの視覚化と潜在意識に植え付けるのに有効とされていますが、実は20年近く前から密かに私も個人的に愛用している技法でした。
 20代半ばの若い頃でしたが、アドラー心理学と同様、これもヒューマン・ギルドで学んだのです。

 実はその時は半信半疑だったのですが、その時期に願っていたことが割りと早くかなったり、実現への道が次々と見えてきて、その「威力」に驚いたことがあります。
 あの時作った宝地図の内容は、ほとんどかなったと思います。例えば、当時はまだ臨床心理の仕事はしたかったけどできないでいて、自分のいる山梨県の福祉の世界では道も閉ざされていたのですが、その後(運や偶然や自分の努力が重なり)実現したり、とかですね。
 やはり夢や希望は、視覚化していつも心に抱いていることが大切なのを、宝地図から学んだような気がします。

 今回アドラー心理学の学習会で宝地図をやったのは、宝地図の普及に尽力している望月俊孝氏(この人も山梨出身!)の里帰りセミナーが甲府市で開かれ、アドラー仲間のアドママさんが学びに行ってくれたので、みんなで一緒に作ってみようとなったからです。

 雑誌やパンフレット、カタログなどを持ち寄り、はさみでチョキチョキ切り、自分のイメージや直感に従って貼って作っていきます。

そして、出来上がりをお互いに発表し合いましたが、みなさん、家族のこと、仕事のこと、レジャーや趣味のことなど、いろいろな夢を持っているんだなあと感心しました。

 みんな、かなうといいね。

 私が今回何を願って作ったかは、ヒ・ミ・ツ。

 いつかかなったら教えてあげます。

 宝地図は一種のコラージュ療法ともいえますが、普通のコラージュは箱庭みたいに内面を自由に表現するものですが、これは自己理想や将来の自分の姿を明確化するのに役立ちます。

 手間さえ惜しまなければ、アドラー心理学や解決志向アプローチのカウンセリングや臨床にも使えるものだと思います。

 詳しくは望月俊孝氏の宝地図のHP「宝地図公式サイト」

 

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October 06, 2009

【緊急告知】私は大丈夫です

 先週末に、ある女性から奇妙な電話が職場にありました。

 不審に思った上司が私を呼んで、その電話をかけてきた人の名を知っているかどうか聞いてきました。
「いや、知りません」
「昔、○○という勉強会で君に会ったとその方は言うんだが」
「ああ、それなら確かに10年近く前に通っていたところですね。その名前の人はいたような気もしますが、よく覚えていませんね」

 そうか、と上司は怪訝そうな顔をします。「どうしたのですか?」と聞くと、

「その人は、『君が万引で捕まって逮捕されたと聞いて、是非、いい人だから懲戒免職とかにしないでほしい』と言うのだよ」
「はあ?」

 もちろん、私は万引きもしていませんし、捕まっていませんし、逮捕・拘留もされていません。上司も職場も当然知っています。

「話が変なんで、うちの患者さんかと思って、名前を調べたがどうもそうではなさそうだ」
「誰でしょうね、何なんでしょうね」

 私と上司は電話の意味が分からず、しばし、狐につままれた顔をしていました。

 やがてある仮説が思い浮かびました。

 数ヶ月前に、私と同姓同名、字もまったく同じ人がしかもなんと山梨県内で、連続窃盗犯として捕まったというニュースがあったのです。
 それをテレビのローカルニュースで聞いたとき私も周囲もビックリしましたが、もしかしてそれが噂になって、その人に伝わったのかもしれません。

「深沢逮捕!」のニュースが人づてに伝わり、尾ひれがついたりして、

「あの人知ってる?捕まったんだってさ。いい人だったのにどうしたのでしょうねえ。きっとお金に困っていたのかしら。でも、辞めさせられたらかわいそうよねえ」
「いや、でもあいつじゃやりかねないよ」
 とか何とか言っているうちに、私の「窮状」を察してくれた人が思いあまって職場に嘆願の電話をしたのかもしれません。

 きっとそうだ、それしか考えられない。

 というわけで、捕まったのは私でなく、同じ名前の別の人です。

 心配してくれたのはありがたいのですが、私は無事です。
 もちろん私は罪深い人間ですが、「まだ」捕まっていないので大丈夫ですよ。

 安心してね。

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October 05, 2009

心理臨床学会アドラー自主シンポ・3

 アドラー心理学に関する学会自主シンポのレポートについては以上ですが、今回この企画を打ったことで、思わぬ出会いがありました。

 我々以外にアドラー心理学を研究している人たちがいて今回登場していたのです。
 何たる偶然、いやシンクロニシティーか?

 今回の心理臨床学会のポスターセッション(壁新聞のようにボードに研究結果をまとめた紙を貼って、来場者に見てもらい、ディスカッションしたり情報交換するもの)で、勇気づけについての研究を発表している方がいたのです。

 浅井健史先生(立教大学)、箕口雅博先生(立教大学)のお二方。

 自主シンポの会場に聞きに来てくれ、終了後に挨拶して下さいました。

 何でも箕口先生はコミュニティ心理学の大家らしいですね。やはりシンポに来てくれた知人が先生の講座を受けたことがあるらしく、教えてくれました。
 そんな方がアドラー心理学に興味を持っていたとは。
 でも確かにアドラー心理学の視点は、明らかにコミュニティー心理学に通じるものがあります。しっかりと注目してくれていたのはさすがだと思いました。

 先生たちが今回発表したのは

「「勇気づけ」が生じるプロセスの研究-生活場面における「勇気づけられた経験」の回想から」

 勇気づけとは実際どのような体験のことをいうのか、どのようなコミュニケーションのことであるのか、質的研究法(ここではKJ法を使用していました)で明らかにしようとしていました。
 研究の目的や意義として、いただいた資料には、

①アドラー心理学における勇気づけ概念の精緻化と実践の質的向上につながる。
②メンタルヘルス専門家が勇気づけという事象を深く理解することで、関わりのバリエーション拡大したり、有効性を高めるための基礎資料となる。
③教育・育児をはじめ、さまざまな場面におけるコミュニティ成員間の相互援助を促進したり、効果的な心理教育を行うための基礎資料となる。

 とあり、その結果は「1勇気づけのもたらす関わりの態様。2勇気づけのプロセスに関するモデルの生成」にまとめられていまいた。

 とても理解しやすく、これから私が勇気づけについて考えたり、説明するときに是非参考にしたいと思います。

 今回の自主シンポジウムで学んだことは、やはり何か動いてみて、やってみれば、意外な広がりが生じるものだ、ということです。

 細々やってきた私たち自身も勇気づけられました。

 浅井、箕口両先生、ありがとうございました。

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October 03, 2009

心理臨床学会アドラー自主シンポ・2

 3人目は私の番で、「児童福祉臨床におけるアドラー心理学の活用」で、内容は前日の教育心理学会とほぼ同じでしたが、アドラー心理学の概論の部分はなくて、もっぱら子どもの臨床に技法面から語ることにしました。
 アドラー自身も子どもの教育、臨床に関心が深く、その後継者たちも同様の志向性を持っている人が多かったので、アドラー心理学100年の歴史の中で、子どもや家族へのアプローチには大変洗練されたものがあります。

 その一部として、ライフスタイルアセスメントや「不適切な行動の4つの目的」などを簡単に紹介させていただきました。

 会場には児童相談所にお勤めの児童心理司さんもいらして、終了後関心を持ってくれて挨拶を交わすこともできました。

 そして、最後に八巻秀先生(駒澤大学/やまき心理臨床オフィス)。

 テーマは「臨床思想としてのアドラー心理学」

 この先生も私の兼ねてから尊敬する「臨床の達人」の一人でありました。システム論、家族療法、ブリーフセラピーがご専門で、実は私が初めて催眠を学んだのは、何年も前のこの先生の講習会ででした(催眠医学心理学会にて)。だから私にとっては「催眠の師」になります。

 八巻先生のことを私は長年ブリーフや催眠の大家だとばかり思っていて、とてもお近づきになれる立場ではないと感じていました。しかし、実はアドラー心理学にお若い頃から深い関心をお持ちだったことをつい昨年知ったのです。
 そして今回のご登場。
 まさかアドラーでご一緒するとは、人間の縁というものは、わからないものです。

 始まると、先生は持ち前の熱く面白いトークが炸裂で、聴衆をぐいぐいと引きつけ、爆笑の連続、そして深く納得させてくれるお話でした。まさに前日の赤坂真二先生なみの面白さです。

 先生ご自身は「アドラー派」ではないけど
 「自分はアドラー心理学ストーカーです」
 と笑顔で話され、大学生の頃野田俊作氏が当時紹介していたアドラー心理学に触れて衝撃を受け、ヒューマン・ギルドの基礎講座も受講されたそうです。
 その後自らの臨床の道に邁進されながらも、つい何かの時には気がつくとアドラー心理学に還ってくる思いがするとおっしゃっていました。

 その内容は、ここで書くのはちょっともったいない、というか、がさつな私の要約では味わいがないし、うまく伝わらない。
 是非、いつか先生にはこれを種に、一文をものにして世に問うてほしい、と思いました。

 ごく簡単に私の理解でいうと、我々臨床家が最も大切にすべきなのはアドラー心理学の持っている臨床思想、つまり、カウンセリングやセラピーの究極目標は「共同体感覚の育成」であり、他者への関心と貢献への決心を育てることだという考えです。

 ここ数十年の心理臨床学の技法面の進歩は確かにめざましいものがある、しかるに思想面はどうだろうか、そこに疑問を持たれた先生は、今こそ「臨床思想としてのアドラー心理学の再検討が必要では?」と主張されていました。

 全く同感で、百家争鳴の心理臨床の世界で、アドラー心理学が全ての臨床家に貢献できるところは、まさにそこにあると思います。

 八巻先生のその具体的な活用の仕方としては、
・「目的論」の採用
・「対人関係論」の重視
・「共同体感覚の意識化」
・「アドラーならどう考える?」という問いをすること

 を挙げておられ、実践されてきたそうですが、これこそ私たちが日ごろ心がけなくてはならないことばかりです。
 ストーカーどころか、アドレリアンそのものです。

 私もそうだけど、臨床家はいくつかの顔を持ちます。
 エリクソニアンでアドレリアン、ブリーフセラピストでアドレリアン、そんな人は意外に多いかもしれません。
 実際これまでにも「○○やってて、実はアドラーも好き」という人には何人かお会いしてきました。

 もしかして「フロイディアンでアドラー好き」もいるかもしれない。ただ仲の悪かったご先祖同士だったので、まさか今さらアドラーを名乗るわけにもいかず(特に恩師やスーパーヴァザーとかの手前)、理論や技法面でほぼ同型のブリーフ・セラピーやナラティブ・セラピーを取り入れた人もいるかもしれません。

 それでいいと思います。

 とにかく、また楽しい仲間で、強力な応援団を得た思いがいたしました。

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September 30, 2009

心理臨床学会アドラー自主シンポ

 熱く燃えた静岡大学の後は山梨にとんぼ返りして、荷物を入れ替えて上京、翌日9月21日は東京は有楽町の東京国際フォーラムへ。

 心理臨床学会の自主シンポジウムに出るためです。

 日本最大の会員数を誇り、あの河合隼雄や成瀬悟策ら綺羅星のような著名臨床心理学者たちを擁し、80年代後半から臨床心理士を作り出して日本中に売り出した(ばらまいた?)巨大団体。
 ある意味ここが私のホームのはずですが、なぜかいつもアウェイ感を感じる学会でありました。

 だっていつも独りぼっちなんだもん。

 しかし今は違います。
 確かに少数なれど志を同じくする仲間がいることがわかり、寂しくなんかない!

 そんな実感のできたアドラー自主シンポジウム、今年のテーマは「心理臨床に活かすアドラー心理学-アドラー自主シンポ②」

 去年の筑波でのシンポでは時間と場所にも恵まれず、アドラーをやるのは初めてのこともあって参加者数には苦戦しました。なんと4人!
 そのためにシンポの先生たちとは
「誰も来なかったら、丸くなって雑談でもしていようか」と軽く話していました。
 私から前日の教育心理学会は大成功だったことを報告すると、
「やっぱりアドラーは教育系に強いなあ」
 という感想というか嘆きも漏れてきます。

 しかし、いざ時間になってくると、少しずつ人が入ってきて、始まる頃には狭い会場が満杯に近くなってしまいました。
 結局20人余りが入ったと思われます。去年のことがあったので、小さめの会場を申請したのでしたが、杞憂でした。もっと広くてもよかったか!?

 そして始まりました。

 トップバッターは、北海道札幌からの参加、青沼眞弓先生(デイケアクリニックほっとステーション)による早期回想を使った心理療法の説明。
 アドラー心理学のアセスメントにおける代表的な技法である早期回想の解釈の実際を示してくれました。
 治療の期間、例えば最初と終結頃など、時をおいて再度同じ人から早期回想を取ると、その人の心理的変化に対応して回想の内容、ニュアンスががらっと変わっているのはやはりとても興味深かったです。
 人間の記憶と認知の不思議に感じ入ります。

 記憶、とりわけ早期回想と呼ばれる過去のエピソード記憶は、「過去の事実」ではなくて「今の解釈」の投影なのだということがわかります。

 その持ち前の積極性とスライドの内容から、青沼先生は当日の打ち合わせでいきなりトップバッターに決まって、しかも「予想」と違って満員の中での発表で内心大変だったと思いますけど、お疲れさまでした。
 おかげさまで良い流れが作れたと思います。

 その後には、本シンポジウムの企画・司会という大役を務めて下さった鈴木義也先生(東洋学園大学)。
 いつも柔らかく優しい雰囲気の先生は、実は私は、内なる志に熱いものを秘めている方のようにお見受けしておりました。何年か前のワークショップで一緒にランチをさせていただいたときに、アドラー心理学の現状と課題について話し合ったことがありました。その際、
「いつか心理臨床学会で、自主シンポをやってみよう」とおっしゃって、(その手があったか!)と驚いた私は即、協力と参加を申し出たのでした。

 その鈴木先生も自らの臨床実践の報告で、「早期回想の使い心地のよさ」がテーマ。
 精神科臨床の面接の中のあらゆる場面で、さりげなく早期回想をクライエントから聞き、そこから深く展開させていく手腕に唸りました。
 ドロップアウトしそうなクライエントに対したときや、面接の中で行き詰まったときなどに、ちょっと軽く寄り道するかのようにこんな風に早期回想を使えるとは。

 ブリーフセラピーのミラクル・クエスチョンなどが代表的だけど、それまでの面接の流れを断つような技法を使うタイミングってけっこう勘というか経験が要るような気がして、つい構えてしまう人が多いようだけど、先生はほんとうに自然な感じで使えているんだな、と感心しました。

 それに比べるとまだまだ私は力業に頼るところがあるな。

 鈴木先生らしい力の抜けた、程良い心地よさを思わず感じる報告でした。

 具体的にどんな風にしたかは、いつかマスターしたらお伝えできるかもしれません。
 しばし、お待ちあれ。

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September 28, 2009

教育心理学会アドラー自主シンポ・3

 その内実はともかく長いことアドラー派を気取ってきた私ですが、ただ一つよくわからないこと、実感できないことがありました。

 それは、クラス会議です。

 アドラー心理学に基づいたクラス会議の有効性は、多くの仲間や本から知っていましたが、個人や家族のある意味チマチマしたカウンセリングばかりしてきて、よくても数人のグループを扱ったくらいしかない自分には、3,40人も子どもたちがいる学級を仕切ることがどういうことなのか、まるで想像できませんでした。

 いや、私だけでなく実際多くの親御さんや学校外部の人たちは、あれだけたくさんの子どもたちを扱うことがどれだけ大変なことか想像できていないで、勝手なことばかり言っていると思います。
 内田樹さんじゃないけど、「先生はえらい」のです。

 そんな無知な私に強烈な一発を放ってくれたのが、今回の自主シンポ、3人目に登場の赤坂真二先生(上越教育大学)でした。
 テーマは「勇気づけの学級づくり」。

 元々小学校の教員だったそうですが、アドラー心理学のクラス会議に関心を持って、(会沢先生が訳された本「クラス会議で子どもが変わる」がきっかけだったらしい)独自に研究し、実践を繰り返し、大成功、新潟の崩壊学級をいくつも再生させて、アドラーのクラス会議の実践者として名を馳せたようです。

 山梨のアドラー仲間の小学校教諭でやはりクラス会議を実践しているS先生から、
「あの先生はすごい、感動ものだよ」と聞いていたのでお会いできる日を心待ちにしていました。

 ほんとにすごかった。
 始まるなり、満員の聴衆の気持ちを引きつけ、爆笑の連続。
 大体学会の参加者は、半分は好奇心だけ、いや欠点探しのような意識で来る人が多いのに、そのような人たちをを引きつける力量はすごいと思います。
 こんな先生なら、子どもたちは心の底から勇気づけられるでしょう。

 今の子どもたちは、「集団成立の危機」の時代にいる、と先生は言います。個別の支援の必要な子供が増加し、未熟な社会性と精神的な弱さ、自己判断が苦手、圧倒的な自信のなさ、といった特徴があり、クラスは容易に崩壊してしまう。

 そんな子どもたちに、いきなりみんなで話し合い、問題解決を目指すクラス会議は無理と赤坂先生は考え、さまざまなその下ごしらえ、基礎づくりを施していきます。その過程、「会話量を増やす」「尊敬の授業」、ふわふわ言葉やチクチク言葉といった「ことばの力」の授業など、魅力的で楽しい授業風景が浮かび上がるような説明と描写でした。

 私も「なるほど、共同体感覚を育てるクラス会議とはこういうものか」とそれまで曖昧だったものがくっきりとイメージされるようになりました。
 私がクラス会議について無知だったのは、子ども時代にそのようなクラス会議を体験してこなかったので、想像できなかったためなのだと思い至りました。
 人は体験できないものは想像しにくい、その未だ現れていないクラス共同体をこの世に現出させた赤坂先生の努力に敬服しました。

 赤坂先生は年は私と同じくらいですが、おっさん化した私と違って実に若々しく、エネルギッシュです。

 新しい世代のアドレリアンの誕生を眼にしました。

 ブログもしていますよ。元気と勇気は誰でも出せる-shinjの日記

 その後シンポジウムは栗原慎二先生(広島大学)の指定討論の下、質疑に入りました。興味深いやり取りがそこでもあったのですが、この学会シリーズの最後にでもまとめて取り上げたいと思っています。

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September 27, 2009

教育心理学会アドラー自主シンポ・2

 私の後に登壇したのは、原田綾子先生(Hearty Smile)による「親支援とアドラー心理学の有効性」。

 私の学ぶヒューマン・ギルドでの「ご学友」でもあり、最近売り出し中の親支援リーダー、講師でもあります。
 元々小学校教師だったそうで、勇気をくじかれたお母さんたちへの支援の必要性を感じて退職、アドラー心理学に基づいたペアレント・トレーニングSMILEの講座を中心に活発な活動を展開しています。

 ステキなブログもしていて、今回の報告もしてくれています(私の写真もあるよ)。

 しかも今回は何と8ヶ月の身重の身、
「緊張しているので2人でここに来ました。もう一人はここにいます」
 と大きなお腹を指してました。
 心配してたけど、よく来てくれました。

「問題行動を起こす子どもとは、勇気をくじかれた子どもであり、その背後には勇気をくじかれた親がいる」
 そのことに気づいた原田先生は親支援の重要性に目覚め、仕事を辞め、「母親こそ勇気づけ!」と「母親に子どもの『よさ』を伝える」「母親の話から『目的』を探る」「母親に寄り添う=味方になる(共同体感覚)」など、アドラー心理学に基づいた、具体的で明るく、勇気づけに満ちた関わりをしていきます。

 具体的なエピソードと写真を交えて話してくれ、その場のイメージがわいてきました。
 私は原田先生の明るさや「花」を知っているので、余計に楽しい雰囲気が伝わってきました。

 アドラー心理学の特徴として、いわゆるアカデミズムになかなか知られない代わりに、お母さんを中心にした民間の自主・自助グループや教師たちの学習会などが熱心に活動して支えてきたというユニークな歴史があります。
 心理学者や臨床心理士のような専門家だけでなく、一般の人たちに大きく開かれた「知の共同体」を形成してきたことが最大の強みだと思います。

 今後はそういう地道な地域の活動と、会沢先生や後に述べる心理臨床学会の諸先生方のような専門家との活動をつなげていくことが課題になると思われます。

 とても意義深い発表だったと思います。

 そして、最後にすごい人が登場しました。

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September 26, 2009

教育心理学会アドラー自主シンポ

 9月21日午前9時30分より、静岡大学にて、教育心理学会総会2日目、待望の自主シンポジウム「アドラー心理学による子ども・家庭支援」が開かれました。

 去年の心理臨床学会でやった自主シンポの流れを受けて、会沢信彦先生(文教大学)より、「今年は教育心理学会でもやろう」とご提案があり、実現となったものです。

 どうせアドラー心理学なんて誰も知らないし、関心を持たないだろうからと
「目標は10人参加ね」
 と会沢先生と言い合っていたのに、蓋を開けてみると、時間が迫るにつれぞろぞろと人が教室に入ってきて、どんどん席は埋まっていくではないですか。
 用意していた資料はなくなりコピーに院生に行ってもらわねばならず、最終的には60人を越えたようです。

 ビックリです。
 一体どうしたことでしょう。

 そんな戸惑いの中(?)、シンポジウムは始まりました。

 まず会沢先生の趣旨説明の後、私がトップバッターでテーマは「児童福祉臨床とアドラー心理学」。
 会場はおそらく初めてアドラー心理学を知る方も多いと思われたので、前半は参加者のためにアドラー心理学の概要の説明の役割を果たし、後半は長年経験した児童相談所での活用の実際を、心理診断とライフスタイル診断を絡めての報告をしました。

 限られた時間の中で言いたいことはいっぱいあるので、思わずいつもながらの早口になってしまいました。

 話の中でも触れましたが、アドラーは第1次世界大戦後のウィーンで、世界初の児童相談機関を立ち上げ、最盛期には30カ所にもなったといいます。
 アドラーや彼の仲間が学校に出向き、子どもや親、教師にカウンセリングを行っていたのです。
 ですからアドラーこそ、児童福祉臨床、教育相談の真の先駆者であったことを心理学史は明記すべきなのです(でも教科書には書いてない)。

 さて、一気にしゃべりまくった私の後は・・・次回に。

 

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September 24, 2009

学会のシルバーウィーク

 帰ってきました。

 世間は5連休ですが、その真ん中の3日間、私は東海、東京とかけずり回っていました。

 疲れた。でも充実感はいっぱいです。

 9月20,21日は日本教育心理学会で静岡大学、22日は日本心理臨床学会で東京国際フォーラムにいました。

 両方ともアドラー心理学に関する自主シンポジウム。

 いやあ、すごかった。楽しかった。

 両方とも大成功!

 その詳しいレポートは次回以降にね。

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 初日の20日は甲府から車で静岡へ。
 丘の上の静岡大学に着くなりお目当ての講演会に飛び込みました。
 教育心理学の勉強ではなく、歴史のお勉強。
 特別講演ということで、静岡大学教授の歴史学者小和田哲男先生による「戦国の論理と武将の心理」
 NHKの歴史番組などでいつも解説役をしたり、大河ドラマの時代考証を担当している小和田先生の話が聞けるなんてめったにないチャンスとワクワクして乗り込んでいったのでした。

「力の論理だけでは勝ち抜けない戦国乱世」「ナンバー2の重要性(例:豊臣秀長、直江兼続)」「家臣のやる気を起こさせる大将の工夫」など、有名な戦国武将の話が次々と出てきて、面白い話が満載でした。

 それにしても、誰もが興味を持つ戦国時代について、誠実にわかりやすく話す小和田先生の人柄はすばらしいと思いました。

 さて、次回はその学会レポートをします。

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