武術の目的
前回、中国武術の意義について述べましたが、武術・武道(格闘技も含む)を学ぶ人の目的は、当たり前ですが人それぞれです。
そこには、アドラー心理学でいう「目的論」が関係してきます。人生目標とか、社会や対人関係の中でどのような目的をもって人生を進めるか、ということですね。
武術・武道は実に幅広い関心領域を網羅しているので、多様な目的に応じることができます。
体育や健康、美容を目的にするなら、それ目的のボクシングジムや武道教室はたくさんあります。
「強さ」を実感し、他者や社会から承認されたければ、剣道、柔道、競技空手(型だけでなく、フルコンタクトも含めて)、各種格闘技を選ぶでしょう。基本的にはそれらはどれだけ「実戦的」をうたっていても、スポーツです。
最近はやりの身体操作を学びたければ、高岡英夫氏や甲野善紀氏はじめ、現在活躍している身体論者、実践家を訪ねるとよいでしょう。ちょっとマニアックですね。
よりスピリチュアルな関心の強い人は、合気道系(大東流を含む)の中に、かなりの実力者やぶっ飛んだ人たちがいます。
最近はロシアの格闘術をルーツにするシステマが注目されていますが、リアルな戦闘力と心身の深い学びが得られるということで、若い人たちに人気があるようです。
私も臨床家として身体操作や心身相関的なものにも関心があるので、高岡英夫氏の運動科学を中心にいろいろと渉猟してきましたが、それらはつまみ食い程度で、あくまで取り組んできたのは伝統的な中国武術でした。
私にとってこの選択は半ば無意識的なもので、アドラー心理学的にはライフスタイル、つまり私の人生目標や行動・思考パターンに影響されていたといえます。
つまり中国武術家の宮平保先生のように、リアルな護身術をマスターすることが第一で、そして歴史好きなので最近勃興した新しいものではなくできるだけ古いもの、伝統的で本格的なもの、などを総合して選択した結果だと思います。
現代社会は法や警察が整備されているので、護身術やケンカ術、あまつさえ殺人につながりそうなものは不要だという意見もありますが、私はそうは思いません。
私の特殊な仕事も関係していると思いますが、いまだに暴力は社会の隅々に存在しています。
たとえ過剰防衛になるリスクがあったとしても、やり返さなければならない事態に遭遇することは十分にありえます。
特に最近議論が喧しい外国人問題がこれに絡んできそうですが、ここでは止めましょう。
というような見解は正しいというより、私の世界観、アドラー心理学のライフスタイル論でいう「他者イメージ」「世界像」に関係しているところです。人や世の中をどのように見るか、ということです。
武術・武道に関心のある方は、ご自身の求めるものをよく吟味して、何に取り組むか決めるといいと思います。




















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